NTTドコモ(ドコモ)と東武鉄道は、4月13日、2月から携帯電話ネットワークを利用するドローン(セルラードローン)を活用した鉄道インフラの予防点検の実証実験を開始したと発表した。
ドコモはこれまで、ドコモ・ドローンプロジェクトの一環として、災害発生時の被災状況の確認や基地局、及び鉄塔・橋梁などの生活インフラの点検を想定した、セルラードローンを活用したソリューション開発に取り組んできた。
また、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取り組みを推進、セルラードローンを活用した社会的課題の解決をめざすとしている。
一方の東武鉄道は、463.3キロにわたる営業キロにおいて、安全・安心な鉄道運行を維持するにあたり、セルラードローンなどの情報通信技術・ロボット技術を活用した、構造物などの予防点検の精度向上、点検コストの低減などを検討してきた。
実証実験は、2月27日(火)に東武日光線利根川橋梁、翌28日(水)に東武鬼怒川線の隣接法(のり)面の実環境で、インフラ維持管理・更新におけるドローンの活用を検証するため、実施。
既存の目視点検などに代わる、より安全で効率的なセルラードローンを活用した点検手法の確立をめざすとしている。
利根川橋梁の実証実験では、セルラードローンに搭載したカメラを通じ、通常目視による点検が困難な橋梁上部や低水路内の橋脚の点検を実施。
取得した点検画像の一部については、NTTグループのAI「corevo」を構成するドコモの画像認識技術を活用した自動解析を行い、実用性を検証する。
また、鬼怒川線隣接法面の実証実験では、同様にセルラードローンに搭載したカメラを通じ、点群データを活用した法面の詳細な実情把握を実施。
ドローンの飛行情報をLTEモバイルネットワーク経由で取得しながらモニタリングを行うことで、今回の実証実験場所のような広範囲かつ複雑な構造物の周辺であっても、安全なドローンの飛行を確認した。
なお、ドローンでの計測及び3次元データ解析については、ルーチェサーチの協力を得て、実施した。
ドコモは、この実証実験結果をもとに、今後さまざまな観点から評価を行い、2018年度も実証実験を重ね、セルラードローンを用いた点検業務の商用化をめざす。
また、自動飛行の実現やさらなる解析精度向上を進め、「ドローンプラットフォーム docomo sky」への機能搭載を検討していく。
[実証実験の概要]
1.目的
(1)橋梁の現状確認及び点検に関するセルラードローンの実用性評価、取得したデータの画像解析に関する実用性評価
(2)法面の現状確認及び点検に関するセルラードローンの実用性評価、点群データを活用した地表面の解析に関する実用性評価
(3)各インフラ設備周辺におけるセルラー網の通信状況調査、及びセルラードローンの制御技術の実証
2.実証実験日
2018年2月27日(火)~2018年2月28日(水)
3.実証実験場所
(1)東武日光線 栗橋駅~新古河駅間 利根川橋梁
(2)東武鬼怒川線 鬼怒川温泉駅~鬼怒川公園駅間 法面
4.各社の主な役割
<東武鉄道>
東武鉄道の保有する鉄道橋や線路周辺の法面などの実験場所、及び点検内容を提供。実証実験を通じ、セルラードローンを用いた点検手法の実用性評価を行う。
<ドコモ>
セルラードローンに搭載する通信機器、及び回線の提供や、携帯電話ネットワークに関するモバイル技術、取得したデータに対する解析技術を提供する。
<ルーチェサーチ>
ドローンでの計測及び安全管理と、画像とレーザの3次元データ解析技術を提供する。
5.実証実験の様子
①利根川橋梁における実験の点検データ例
②鬼怒川法面における実験の点検データ例