時速360km で走行する 5G 通信実験中の ALFA-X
NTTドコモと東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は1月28日、新幹線試験電車(ALFA-X)による第5世代移動通信方式(以下、5G)の無線通信実験において、実証実験としては国内最高速度である時速360kmで成功したこと、また、地上とALFA-X車内の双方向で、高精細の4Kと8Kの映像を5Gで安定的に伝送する実証実験に成功したことを発表した。
今回の実証実験により、新幹線に代表される高速鉄道においても、安定した 5G の高速通信が実現できることを確認した。これにより、高速鉄道における4Kや8Kなどの高精細映像の伝送など、これまで実現することが難しかった新たなサービス提供の可能性が広がるという。
高い周波数帯を用いる5Gは、高速鉄道ではドップラー効果や線路周辺の遮蔽(しゃへい)物の影響を受け、通信品質が不安定になるという大きな課題がある。ドコモは、高速鉄道における5Gの高速通信の実現可能性を確認するため、2017年から実証実験を進めている。
1.実験内容
(1)実験概要
・東北新幹線の仙台から新青森間の一部区間の沿線に実験用5G基地局2局を約900m離して仮設置した5G実験エリアを構築
・ALFA-Xに実験用5G移動局を搭載し、国内最高速度の時速360kmで実証実験を実施
– 期間:2020年10月~12月
– 区間:東北新幹線 仙台〜新青森間(一部区間)
– 周波数帯:4.85GHz帯(帯域幅:100MHz)
– 特徴:ビームフォーミング機能、ビーム追従機能、ハンドオーバー機能、ドップラー補償機能を搭載
(2)5G実験装置
・3GPP国際標準仕様に準拠した4.85GHz帯(帯域幅:100MHz)の新たな実験装置を使用
・電波の放射エリアを特定方向へ集中させるビームフォーミング機能と、電波の放射方向を制御するビーム追従機能、ドップラー効果による周波数の遷移を補償する機能を搭載
・5G無線通信を維持したまま接続先の基地局を瞬時に切り替えるハンドオーバー機能を適用し、切り替えタイミングを最適化
(3)5Gを介した高精細映像伝送実験
・4Kと8Kの映像伝送装置を基地局およびALFA-X内の移動局に接続
・4Kと8Kの映像コンテンツをダウンロードおよびアップロードする実験と、双方向にストリーミングする実験を実施
2.実験結果
時速360㎞において以下の実験に国内で初めて成功
(1)5G無線通信実験
・移動局の受信時最大500Mbps、送信時最大100Mbpsの通信速度を達成
・100Mbps以上の通信速度を保ったまま、通信基地局を切り替えるハンドオーバーに成功
・2つの基地局を用いて、安定的に100Mbps以上の通信エリアを約5km構築
(2)高精細映像伝送実験
・4K映像コンテンツのダウンロード、アップロード、ストリーミングに成功
・8K映像コンテンツのダウンロード、アップロード、ストリーミングに成功
<実験紹介動画> https://youtu.be/AASLb4PQ-RM
3.実験のシステム構成