NTTとNTTデータグループは5月23日(米国・インディアナポリス発)、来たる5月26日にインディアナポリス州で開催される世界三大レースのひとつ、第108回インディ500(108th Running of the INDIANAPOLIS 500)に於いて、モータースポーツファンの観戦体験向上のためAIを活用したスマートソリューションを提供する。
両社は、各レーシングカーに搭載された140以上のセンサーから取得する80億以上のデータと、高度なAIを組み合わせることで高精度なレース戦略予測を実現した。
これにより、モータースポーツのなかでもチームの戦略や駆け引きが特に複雑で重要とされる「インディカー・シリーズ」で、レース会場やリモートで観戦するファンが、プロドライバーやプロレーシングチームと同じ視点に立ち、レース中の戦略や駆け引きなどをリアルタイムで楽しむことができるようにした。
また、一日で30万人以上が来場するインディ500の会場インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)に於いて、各ゲートの入場待ち時間や混雑ピークエリア予測の情報を30秒毎に提供し、ファンがレース会場に安全に入場・観戦できる取り組みを推し進めていく。
インディカーとインディアナポリス・モーター・スピードウェイを統括するペンスキーコーポレーション(Penske Corporation)会長のロジャー・ペンスキー氏(Roger Penske)は、「NTTデータグループは、技術がモータースポーツに与える影響の限界に挑戦し、先進的かつ効果的な方法で膨大なデータ活用を支援してくれています。
NTTデータグループは、レース会場内にいる30万人を超えるファンに対して、安全性、セキュリティ、効率性を提供し、イベント運営を支えています。
また、リアルタイムのデータはレース管理や、NTTデータグループが提供するINDYCARアプリにも提供されています。」と述べた。
NTTデータ・ノースアメリカ(NTT DATA, North America)でCEOを務めるエリック・クラーク氏(Eric Clark)は、「私たちは毎日、医療、金融サービス、保険、製造、公共部門などの重要な分野で世界をリードする企業と協力しています。
INDYCARレーシングチームやNTT INDYCARシリーズの会場は、特に多くのリアルタイムのデータや分析を提供している組織となりますが、INDYCARとの提携により、リアルタイムで当社の製品を分析し、検証を行うことができます。
これらの学習を利用して、お客さまのビジネス変革や持続可能性の向上、AIの活用、CXの向上、技術革新の拡大を支援します。」と語っている。
なお、NTTは2024年のインディ500レース会場で、プロドライバーの高度な運転技能に代表される言語化できない身体感覚を第三者へ伝える身体知(EmbodiedKnowledge)共有技術を活用したカーシミュレーターを公開する。
このシミュレーターでは、実際のレースで感じるハンドル抵抗やシート振動を受けながら、触覚や視覚を通じて、プロドライバーの手足の動きを、自らの身体と同期させることが可能だ。
今後は、このような先端技術の活用により、これまでウィンドサーフィンなどで実施してきたスポーツ産業に於けるパフォーマンス向上や育成強化への貢献に加えて、言語化できない身体感覚を第三者へ伝えることによる技術やノウハウの伝承など、幅広い産業での活用を目指していく。
こうした技術革新についてNTT人間情報研究所の日髙浩太所長は、「インディ500は、洗練されたプロドライバーの身体知が発揮されるレースの頂点です。
今回はプロドライバーの洗練された身体感覚を直接体験することで、身体知の真の意味を理解できる機会を実現しました。
今後は、さまざまなセンシング技術により取得したデータを活用し、身体感覚をより高い精度で伝え、追体験できることを目指します。」と自社活動の意義について説明した。