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2023年11月1日【エネルギー】

NTTデータ、シンガポールEVeにEV充電分析基盤を提供

坂上 賢治

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NTT DATA, Inc.(エヌティティ データ インク)のシンガポール拠点NTT DATA Singaporeは、シンガポールの行政機関Land Transportation Authority(LTA)の完全子会社で当地のEVインフラ管理を担うEVe(EV Electric Charging)社と戦略的なパートナーシップを3年間締結したことを踏まえ、今年12月からEV充電データ管理&分析プラットフォーム「NXT E-Mobility Data Platform (NXT-EDP)」の提供を開始する。

 

ちなみにシンガポール政府は、先に打ち出したグリーン政策”Singapore Green Plan 2030“に基づき、2030年までに国内に於いて延べ6万台の充電設備を設置すること。また次の10年。つまり2040年までに国内登録車両の100%を環境負荷の少ない車とする独自のグリーン政策を掲げている。

 

そして、その計画上に沿って2022年に、国内5社をHDBの充電ステーションを運用するCPOとして選定。続いてEVe社は、これらLTAに選定されたCPOと連携。来たる2025年までには、シンガポールのHDBの約2,000の駐車場に約12,000台のEV充電設備を展開するという。

 

このように当地で充電インフラの整備が進むなか、リアルタイムの電力使用量、充電施設の位置情報及び利用率などの可視化、およびこれらのデータを元にした電気自動車の充電ネットワークの最適化などの幾つかの数値が重要課題になってきている。それゆえに、設備の位置情報や電力の需要と供給量、消費者行動などのKPIをリアルタイムに把握しなければならないのだ。

 

そこでNTT DATA Singaporeはクラウド側を支えるサービスを提供するべく、シンガポール当地のEV充電インフラ整備を推進するCPO(Charging Point Operators)や、EV車用駐車エリアを保有する小売り、住宅開発局(HDB)等のEVビジネスを関連する事業者向けに、NXT-EDPによるデータ利活用・分析サービスを介して、充電施設の運用効率の向上・ドライバー体験の向上に貢献していく構えだ。

 

この結果、充電施設の消費電力や利用率などのデータは常にリアルタイムで情報収集・分析されて、政府によるグリーン政策推進のKPI管理を可視化に貢献するだけでなく、将来的には小売業者などの民間事業者にも価値ある情報を提供していく。

 

そんなNXT-EDPは主に4つの特長を有している。

 

1.データ収集
充電施設の利用内容、稼働状況、消費電力などのEV充電利用データをリアルタイムで収集することで、一元的で効果的なネットワーク監視と管理を可能とする。

 

2.直観的で優れたUI/UX
直観的でシームレスなデザインによるシンプルな操作性で満足度の高いUI/UXを提供する。

 

3.効果の可視化
消費電力量およびEV充電によるCo2排出削減に関するデータを提供することで、SDGsに則した状態で環境へ影響を定量的に可視化する。

 

4.拡張性
急速な充電インプラの拡充に対応できるように設計されたプラットフォームにより高アジリティ且つ安定運用を可能とする。

 

なおNXT-EDPに携わるNTT DATA, Inc. 執行役員 Chief Digital Assets Officer 栢哲之氏は、「Eve社と戦略的パートナーシップを締結し、業界をリードするNXT-EDPを展開することで、をシンガポール全土にEV充電ネットワークを展開できることを嬉しく思います。

 

今後NXT-EDPはシンガポールをはじめ世界的に急速に発展するEV業界の変革パートナーとして、高度なデータ集約と分析機能により、高度な需要予測や付加価値の高いユーザー体験を提供することで、SGDsに貢献します」と話している。

 

またNTTデータシンガポールのマネージングディレクター、クリシュナパン・ラマナサン氏(Krishnappan Ramanathan)は、「NTTDATAシンガポールは、このパートナーシップ締結を非常に誇りに思っています。

 

データ分析におけるNTTDATAグループのナレッジにより、一時的な価値を提供するだけでなく、拡張性と将来性のある機能追加も行っていきます。

 

これは、ダイナミックで持続可能なEVエコシステムを構築するというEVe社のビジョンと一致しており、シンガポール全土へのEV導入を実現できることを楽しみにしています」と語る。

 

更にEV-Electric Charging Pte. Ltd. のデレク・タンCEO(Derek Tan)は、「NTT DATAグループがプロジェクトに参画してくれることを嬉しく思います。EVe社はすべてのEV利用者、特にHDB居住者の移動を向上することを目指しています。

 

このプロジェクトによりEVe社は2,000のHDB駐車場のデータをリアルタイムに利用できるようになり、ユーザーはいつでもどこでもEV充電ができるようになるのです」と述べた。

 

最後にNTT DATA, Inc.は、「NXT-EDPは今後ビジネスインテリジェンス・データ分析・データウエアハウスの機能を高度化していき、収集したデータを活用し、複雑で高度なEV需要予測機能を拡充していきます。

 

我々は今後、NXT-EDPをCPOや、EV車用駐車エリアを保有する小売り等、EVビジネスに関連する事業者にも提案し、データ利活用・分析サービスをもって充電施設の運用効率の向上・ドライバー体験向上の実現を目指します。

 

そしてシンガポールのEV化推進に貢献し、更に今後は得られたノウハウをシンガポールに限らずグローバルで展開していきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。