日本通運と日通総合研究所は、交通運輸分野の課題解決に向けて国土交通省が行う「平成30年度交通運輸技術開発推進制度」に、研究テーマ「機械化技術の採用による点呼精度向上の研究」で応募、6月1日に採択された。
これは、運行管理者が行う点呼に自動化技術を導入し、点呼の精度を向上させると同時に業務の省力化を図ることを目的とした研究で、NTTドコモ、東海電子をはじめ、有識者・学識者等の協力のもと、3年の期間を予定している。
[背景]
貨物自動車運送事業輸送安全規則に定められた運行管理者の業務は、ドライバーの労務管理から、運行スケジュール管理、ドライバーの教育など多岐に渡るが、その中でも、乗務前点呼・乗務後点呼については、ドライバーごとに異なる時間帯で実施するため、各事業者が非常に多くの時間・労力を費やしている。
また、所属するドライバーが多く、複数の運行管理者がいるような営業所では、個々のドライバーの既往症や健康管理の状況、前日の運行状態、健康状態などの情報の引継ぎが行いにくいなど、点呼の精度という観点からも多くの課題がある。
[研究の目的]
研究では、以上のような課題の解決に向け、点呼に機械化技術を導入し情報をデジタル化。現状よりも点呼の精度を高め、安全な運行に寄与する。
また、点呼システム(機械化)により、点呼にかける運行管理者の時間や労力を軽減。同社のみでなく、多くの事業者で活用できる仕組みを構築する。
[研究の概要]
免許証等の所持品や健康状態の確認、アルコールチェック、運行指示などを行う「自動点呼機」を試作し、実際の業務で使用し、効果の検証を実施。有識者等の意見を踏まえ、運行の可否判断に必要な健康管理上の項目や基準値を検討する。
[今後の展開]
運行中のドライバーが体調を崩すことに起因した事故は、乗務前点呼の精度を向上で、すべて防止することは難しい。
日通は、「事故をなくす」という観点から、事業者が運行中のドライバーの体調をどのようにモニタリングしていくのか、車両側で持つ車両のコンディションに関するデータをどのように事業者が活用できるか等の課題を解決するため、同研究が今後の運行管理の手法の高度化に繋がるように取り組む。
また、同研究の成果が、多くの貨物運送事業者、旅客運送事業者に活用され、将来の運行管理の在り方にも貢献できるよう取り組んでいくとしている。