日産自動車(以下「日産」)は7月1日、欧州におけるカーボンニュートラルの実現に向け、世界初の電気自動車(EV)生産のエコシステムを構築するハブとして「EV36Zero」を公開したと発表した。
このプロジェクトには、日産とエンビジョンAESC、そしてサンダーランド市議会によって10億ポンドが投資され、EV、再生可能エネルギー、バッテリー生産という相互に関連した3つの取り組みによって、自動車業界の未来のビジョンを示している。
・新世代のクロスオーバーEVを英工場(サンダーランド工場)で生産
・エンビジョンAESC社はサンダーランド工場の隣接地に新たな9GWhのギガファクトリーを建設
・再生可能エネルギーを利用した「マイクログリッド」から100%クリーンな電力をサンダーランド工場に供給
・EV用バッテリーをエネルギーストレージとして二次利用することで、究極のサステナビリティを実現
・この包括的なプロジェクトにより、サプライヤーを含め、英国に6,200名の雇用を創出
日産の社長兼CEOの内田 誠は、「日産はライフサイクル全体でのカーボンニュートラル実現を目指し、EVの開発・生産だけではなく、車載バッテリーの蓄電池としての活用や、二次利用など、包括的な取り組みを行ってきたパイオニアです。今回の決定はその一環であり、これまで、社内で様々な検討を重ねてきました。このプロジェクトは、欧州におけるカーボンニュートラルの取り組みを大きく加速させるものです。ここで得られた経験・ノウハウを他の地域にも共有し、グローバルでの競争力を高めていきます。今後も日産は電動化における強みを活かし、お客さまと社会に価値を提供しつづける企業を目指していきます」と述べた。
英国のボリス・ジョンソン首相は、「日産がサンダーランドで新世代のEVを生産すること、そしてエンビジョンAESCがギガファクトリーを建設すると発表したことは、英国とその北東部の高度に熟練した労働者に対する大きな信頼の証です。この地域には30年以上の歴史がありますが、今回の発表はまさにEV革命の重要な瞬間であり、今後何十年にもわたって未来を約束するものです。これらのコミットメントは、環境に配慮した多くの雇用を創出し、英国の産業を活性化するとともに、人々が気候変動へ影響を与えることなく、手頃な価格かつ持続可能な方法で移動できるようにしていきます」と語った。
日産のCOOアシュワニ グプタは、「本日は、日産、パートナー、英国、そして自動車業界全体にとって画期的な日です。日産の『EV36Zero』は、自動車業界の可能性についての概念を変え、未来に向けたロードマップを設定します。日産は、世界で初めて量産型EV「日産リーフ」をグローバルに発売し、全く新しい領域に挑戦してきました。そして今、日産はパートナーとともに、自動車産業の次のフェーズを切り拓くべく、電動化とカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速していきます」と述べた。
今回発表されたプロジェクトは、35年の歴史を誇る日産のサンダーランド工場を基盤とし、日産と英国のサプライヤーで6,200名の雇用を創出する。そして、長期的に日産の英国におけるEV生産を近代化し、能力を拡大する。
エンビジョングループのバッテリー部門であるエンビジョンAESCは、統合されたAIoTスマートテクノロジーを導入し、新しいギガファクトリーでのエネルギー消費、製造、メンテナンスを管理・最適化することで、生産量を急速に拡大し、日産に年間最大10万台分のEV用バッテリーを供給することが可能になる。
英国のクワシ・クワルテング国務大臣は、「日産とエンビジョンAESCによるこの素晴らしい投資は、サンダーランドの人々への厳粛なコミットメントであり、高技能の雇用をもたらし、北東部をレベルアップさせる計画に拍車をかけるものです。英国はEVで世界をリードすることを目指していますが、今回の投資はその目標に向けた大きな前進であり、英国が自動車製造において世界で最も競争力のある場所の1つであることを、より強く証明するものです。日産の英国に対する信頼を再確認しただけでなく、長期にわたる英国へのコミットメントがさらに強化されたことを非常に誇りに思います。この工場で生産されるクルマは、英国初の大規模ギガファクトリーで製造されたバッテリーを使用し、ガソリン車やディーゼル車からの移行や国内のEV製造拠点の立ち上げに、大きな役割を果たすことになるでしょう」と語った。