日産自動車は3月10日、日本国内でのモビリティサービスの開始を視野に、市街地で日本初となる運転席が無人の状態での実証走行を横浜市みなとみらい地区で公開した。同実験車は自社で独自開発したもの。

日産は、少子高齢化に伴う公共交通機関のドライバー不足や地域社会が抱える交通サービスの課題解決に貢献し、自動運転技術を活用して誰もが自由に移動できる新しい交通サービスを提供することを目指している。

そこで同社は、自動運転技術の開発を進めるにあたり、安全性を担保するためのハードウェア・ソフトウェアの開発と検証を国内外で進めている。そのために日本国内だけでなく、日産先進技術開発センター・シリコンバレーで開発された技術や、英国での自動運転研究プロジェクト「evolvAD」などで得られた知見を最大限に活用していく。

上記を踏まえた今実証では、「セレナ」ベースにカメラ、レーダー、ライダー性能を高めてルーフに搭載。これらのセンサー類は、セレナの全高を活かし検出エリアを格段に広げると共に高精度の検出が可能となっている。

また、AIを活用した車外環境の認識や行動予測による判断と制御機能が進化し、よりスムーズな走行が可能となっている。従ってルート上で遭遇しうる様々なシーンを検証すると共に、実証運行に於いては遠隔監視を加えるなど冗長性を備えたシステム構成とし、異常時の即時停車機能を持たせている。これにより車内に運転者がいない（自動運転レベル2）状況に於いても安全性が確保されている。

なお日産は、2017年度より自動運転モビリティサービスの実証実験を実施。積み重ねてきた知見をもとに、2025年度下期から2026年度に掛けて横浜市で約20台を運用する大規模なサービス実証実験の実施を予定している。

そのためら現在、関連する事業者と共にサービスに必要な運営体制とサービスエコシステムの構築を進めており、2027年度には自治体や交通事業者を含む関係者と協議の上、遠隔監視設備を備えた自動運転レベル4によるモビリティサービスの提供を目指す。

なお、こうした取り組みは経済産業省、国土交通省をはじめとした中央官庁ならびに横浜市などの自治体と密に連携しながら推し進めていく。また経済産業省と国土交通省が主催する『レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ』に於いて、新たな自動運転移動サービスの実現に向けた取り組みを促進していくとしている。