日産では「これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。
内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。
また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします。
このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めてまいる所存であります」とのコメントを公表している。
なおゴーン氏が仮に刑事訴追された際は、日産の経営責任を問われるだけでなく、ルノー・日産・三菱自動車工業の3社連合にとってもとてつもない大激震が発生する。
そもそも先の9日にゴーン氏は、仏モブージュと同じくサンドゥヴィルにある生産工場にて、新型バンの生産を行うと発表したばかり。
当初の計画では、モブージュ工場でルノーの小型バン生産拠点に、サンドゥヴィル工場ではルノーのバン「トラフィック」の生産拠点としていくと発表。これによりルノー、日産、三菱自動車工業の3社連合は、共通プラットフォームや生産拠点の共同活用をさらに加速させていく予定としていた。
同発表では、ルノーの大株主でもある仏政府のエマニュエル・マクロン大統領と現地工場を訪れて従業員と懇談するなど、ルノ傘下において、アライアンスのシナジー創出を加速させると述べていた。
今後の3社の動向はまだ不透明だが、日産での現スタンスは「不正許すまじ」という構えではあるもののゴーン氏が問題の引き金とはいえども、国際的な企業法人としての自己管理責務も問われだろう他、一連の責務の原因究明がなされた後においては、今後の経営体制の建て直しの検討に入ると想定され、もう一方の日本企業の三菱自動車工業では、三菱商事の意向も少なからず影響するものと見られている。
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カルロス・ゴーン氏はミシュランを経て、1996年にルノーに入社。後に副社長に就任したが1999年に日産の経営危機に乗じて日産の筆頭株主となったルノーから派遣された。翌年2000年には日産の代表取締役社長に就任。日産のV字回復の立役者となった。その後、2016年に三菱自動車工業の燃費不正問題を契機に日産の資本出資に伴い三菱自動車工業の会長も就任していた。( MOTOR CARSから転載 )