日産自動車は、車両開発において騒音の発生源をPC画面上で可視化する「音源可視化技術」のライセンスを、アコー及びマイクロネット供与する。
日産は、この音源可視化技術を2011年に開発。以来、人が不快に感じる音の周波数帯にフォーカスし、発生部位を可視化することで、車両開発の初期段階で静粛性のために必要な対策を講じてきた。
またエンジン生産ライン等にも適用し、生産設備の異音の発生源の特定や、対策前後の防音効果の確認にも活用してきた。
「音源可視化装置」は、音源可視化技術を活用し、マイクロホンを複数配置、信号処理アルゴリズムと組合わせて超指向性マイクロホンを構築。
加えて中央にカメラを設置し、マイクロホンで測定した音圧レベルの大小を等高線として測定対象物の画像と重ね合わせ視覚的に表示することにより、音源を探査する。
更に32個のマイクロホンの最適配置ができるよう可変構造を持たせ、低価格かつコンパクトながら低周波音から高周波音までの測定を可能とした。
これまで日産は、音源可視化装置の配備を、同社及び関連会社の開発拠点や各工場への進めてきたが、今後更なる展開を図るため、社外の知見・ネットワークの活用を検討。
東京都と東京都中小企業振興公社及び、川崎市と川崎市産業振興財団が進める地域産業活性化を目的とした知的財産マッチング支援(*)から、装置を製造、開発し、ソフトウェアの改良ができる企業としてアコーとマイクロネットの紹介を受けたと云う。
*)知的財産マッチング支援:全国の大企業等の技術を意欲のある優秀な中小企業にライセンスを行う、知財を活用した地域産業活性化取り組み。
今回のライセンス供与によりアコーとマイクロネットは、異常音や騒音の発生源の発見、解析などを必要とする様々なシーンにおいて、音源可視化装置を使った製品開発が可能に。
例えば空調の送風音の発生個所の特定、建物構造物のきしみや部材膨張による異音の発生部位の特定、生産ラインにおける設備異常個所の特定、製品販売先からの異音クレームへの早期対応、住宅室内の騒音問題の解決等への活用が期待できると云う。
日産は、今回の取り組みを通じて、音源可視化技術の海外工場を含めたグローバル開発拠点や各工場への導入を加速。また、外販し様々な業種の開発現場での利用により、装置の信頼性、機能性の向上が期待できるとしている。
日産の経営戦略本部、パートナーシップ、ビジネスデイベロップメント担当の副本部長、木俣秀樹氏は、以下のように話している。
「日産は自社で開発した技術を自社利用だけに留めず、社外における自社開発技術の有効活用を積極的に推し進めることにより、社会や産業全体での技術の発展に寄与していきます。
今回のアコー、マイクロネットへの音源可視化技術の供与もこの取り組みの一環です。
同技術が広く用いられることにより、モノづくりの現場でのさらなる生産性向上に寄与するだけでなく、地方自治体が推進する地域産業活性化にも貢献していきたいと考えています」。
■日産のテクノロジーライセンスについて:https://www.nissan-global.com/JP/LICENSE/