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2025年3月6日【トピックス】

日産、世界15都市で若年層の意識調査。若者世代はEVを支持

坂上 賢治

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未来市場は、持続可能なソリューションを求めており、日産の方向性に合致する

 

日産は「エコノミスト・インパクト(Economist Impact)」に、都市部に住む若年層を対象としてモビリティの選択に関する調査を依頼した。

 

このエコノミスト・インパクトは、ザ・エコノミスト・ニュースペーパー・リミテッドの称号で知られるメディア企業、英・エコノミスト・グループ(The Economist Group)が企業・政府・非営利組織と提携して社会調査等を行う事業として立ち上げたもの。

 

同調査は5大陸15都市の18歳から30歳までの都市居住者3,750人を対象に実施。調査対象は、バンコク、コペンハーゲン、ロンドン、ロサンゼルス、マニラ、メルボルン、メキシコシティ、ニューデリー、ニューヨーク、パリ、リヤド、サンパウロ、上海、東京、トロントの15都市で均等に割り当てられた。その結果、同世代が移動手段として電気自動車(EV)を支持する結果が示されたことが(3月6日)明らかになったとしている。

 

日産はこの結果について、「変化し続けるお客さまのニーズにあわせてクルマの電動化を推進し、持続可能なソリューションの提供に取り組む自社の方向性に合致するものと考えています」と述べた。

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日産が「エコノミスト・インパクト」から得た主な調査結果は以下の通り

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– 回答者の過半数(57%)が、カーボンフットプリントを削減するためなら自身の移動習慣を変えても良いとしている。特に新興国の都市では、移動手段を選ぶ際には環境への配慮が不可欠と考えている。

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– 移動手段の選択肢としてEVが支持されている。今回の調査では、回答者のEV所有率は23%でしたが、10年後には35%以上まで上昇すると予想される

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– 今後5年間で自分がEVを運転するようになると考えた回答者の割合は、新興国の都市では44%、先進国では31%。大気汚染に直面する新興国では、持続可能性を考慮する傾向が強いと考えられる。

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– 若年層はエネルギー貯蔵、代替燃料、クルマとさまざまなモノをつなげる「V2X」などのイノベーションに高い関心を示しており、回答者の半数近く(40%以上)が、これらの技術が移動手段の選択時に影響を与えると回答している。

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その結果に対してエコノミスト・インパクトでアジアパシフィック責任者を務めるリトゥ バンダリ氏は、「本調査では、若年層がモビリティの未来をどのように考えているのかを探りました。なぜなら彼らの選択によってモビリティの将来が形成されるからです。

 

調査結果は、持続可能なモビリティを普及させるには環境への貢献と、実際の利用時に優先する事項(価格や利便性、受容性など)のバランスが重要であるということを示しています。そして、公共交通機関、EV、カーシェアといったさまざまな移動手段を組み合わせ、誰もが使いやすい移動のネットワークを提供していくことが必要なのです」と調査内容について説明した。

 

電動化は選択肢の一つではなく、未来のモビリティの中心的存在にしていきたい

 

また日産の常務執行役員でグローバル広報を担当するラバーニヤ ワドゥガウカル氏は、「日産はモビリティの電動化を推進し、持続可能性を高めていくことで、未来の移動手段を作り上げようとしています。

 

本調査によって、クルマの電動化ニーズの高まりや、電動化についての認知向上の必要性を改めて確認することができました。また、長期的にEVを普及させていくためには、費用対効果の高いEVを提供し、現実に即したスムーズな移行を目指すことが重要です。

 

日産はデータに基づく調査やイノベーションを活用しながら、電動化を選択肢の一つとしてだけではなく、未来のモビリティの中心としていきたいと考えています」と話している。

 

若年層はEVを移動手段として好む。その数値は新興国の都市で44%、先進国で31%

 

調査回答者のうち、現在EVを所有している人の割合は23%だったが、全体の3分の1以上が10年後にはEVを自分のクルマとして考えると回答した。また、今後5年間でEVを運転するようになると考える回答者の割合は、新興国の都市で44%、先進国では31%となっている。

 

上海、サンパウロ、メキシコシティといった都市では、大気汚染や渋滞といった環境への懸念が深刻化し、EVへの関心が高まっている。EVの普及を左右する要因としてバッテリー性能、充電インフラやコストなどが挙げられるが、新興国の都市ではバッテリー性能について、先進国では従来のガソリン車との比較で依然として高いEVのコストを懸念する声があった。

 

費用対効果をEVに求める若者は、今後、モビリティのその先へと期待を広げる

 

調査回答者の40%以上が、新たなEV技術に高い期待を寄せており、EVが日々の生活を変えていく可能性を認識している。

 

特にEVが移動手段にとどまることなく、再生可能エネルギー由来の電気を蓄電し、外部デバイスへ給電するなど、エネルギーマネジメントに貢献できることを調査回答者の半数が理解している。また、緊急時の電力共有といった従来のモビリティを超えるEVならではの機能については、新興国の都市の回答者がより高い期待を寄せています。

 

日産では、「これらの調査結果を踏まえ、よりクリーンで安全、そしてインクルーシブな世界を目指し、誰もがどこででもモビリティを利用できるようにしたいと考えています。そして、誰にとっても利用しやすく、価格競争力の高いEVを提供することを目指しています。

 

日産は今後も充電インフラの改善、バッテリー技術の向上、費用対効果の高いEVソリューションの開発を進めていきます。充電やエネルギー貯蔵に関するイノベーション、V2X技術などを活用し、包括的で効率的なEVエネルギーエコシステムの構築を目指していきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。