日産自動車は2月12日、カルロス・ゴーン元会長に対して、100億円の損害賠償を求める訴訟を、横浜地方裁判所に提起した。
賠償請求は、役員報酬の虚偽記載に関わる金融商品取引法違反、取締役としての善管注意義務違反、および会社の資金と資産の私的流用による損害に関するもので、将来的には、証券取引等監視委員会勧告に基づく金融庁への課徴金の支払や、日産に対する刑事手続で課される可能性のある罰金等により被る損害により、さらに増える見込みだと云う。
なお賠償金は、日産が主張する、下記項目をはじめとしたゴーン元会長の不正によって発生した支出を基に算出したとのことだ。
・ゴーン元会長の不正行為(CEOリザーブによる不正支出、海外の住居の無償使用、姉に対する支払い、レバノンの教育機関への寄付、レバノンの弁護士への支払い、コーポレートジェットの私的利用等)に関する支払い(2019年9月9日リリース)。
・ゴーン元会長による不正行為に関する内部調査に要したリソース。
・日本、米国、オランダおよびその他地域で発生した当局調査対応等の費用。
日産は、保釈条件違反となるゴーン元会長のレバノン出国を受け、損害賠償請求等、責任追及の動きを強化。
今回の訴訟は、日産が、ゴーン元会長がイギリス領バージン諸島で特別目的会社等を通して不正取引を行っていたと主張し、元会長及びその関係者を相手取り、昨年8月30日に同地で開始した、豪華ヨットの帰属と賠償を求めた民事訴訟に続く損害賠償請求訴訟となる。
なお日産は、ゴーン氏のレバノン出国後、メディアを通じて行った名誉毀損発言については、法的手続を留保するとしている。