日産自動車は2月17日、社長兼最高経営責任者 内田 誠氏および最高執行責任者 アシュワニ グプタ氏が、厚生労働省の主導する「イクボス宣言」を表明したと発表した。
日産では、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を重要な経営戦略の一つとして推進。多様なバックグラウンドを持つ従業員が、お互いに異なる価値観を尊重しながら働くことで、新たな発想や独創的なソリューションを創出し、さらなる業績の向上を実現することを目指している。
同社は、育児をしながら働くことも多様性の一つととらえ、育児に携わる従業員がワークライフバランスを実現しながら柔軟に働き、継続して力を発揮できるよう社内制度を構築し、ワークショップや研修を通じて理解促進を図っている。そして、今回の「イクボス宣言」の表明により、多様な働き方を受容する組織の実現に向けた取り組みを、より一層強化していくという。
内田氏は、「従業員が力を発揮できる環境を提供することは、経営層の最大の責務であり、会社の持続的な成長にも不可欠です。その点でワークライフバランスは重要です。私自身、仕事から離れ、家族や一人の時間を過ごす中で、新たな気づきや仕事のヒントを得ることが多くあります。従業員の多様な働き方をサポートするための制度を拡充させると同時に、制度がしっかりと活用されるよう、互いの立場を尊重し、ともに支え合う企業風土の醸成にも、日産は積極的に取り組んでいきます。」と述べた。
内田氏およびグプタ氏の「イクボス宣言」は次の通り。
■社長兼最高経営責任者 内田 誠氏
互いの立場を尊重し、ともに支えあう風土を社内に浸透させることで、社員のライフワークバランスの向上を後押しします。
■最高執行責任者 アシュワニ グプタ氏
性別、年齢、文化や個々人の置かれた状況など、それぞれの違いが受け入れられ、従業員一人ひとりが楽しく仕事に取り組み、能力を最大限発揮できる職場環境の実現を目指します。
グプタ氏は、「私は世界各地で多様な仲間と働いてきた経験から、異なる価値観を受け入れ、それらが重ね合わさることでイノベーションが生まれることを、身をもって体感してきました。そして今回の宣言だけでなく、日産はダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を重要な企業文化の柱としてきました。引き続き世界中の従業員一人ひとりが、個々人のバックグラウンド等の多様性を受け入れ、お互いを認め合い、自身の能力を最大限発揮することができる職場環境の実現を目指していきます。」と語った。
同社は、育児と仕事の両立を支援するため、性別を問わず全ての対象者に、産休や育休を取得する前と復職が近づいたタイミングで、復職後のキャリアや働き方について考えるセミナーを実施している。休職前に実施する「プレパパママセミナー」には、社外のパートナーも参加することが可能で、2020年度は男性の参加人数が過半数となった。また、各種セミナーには育休取得経験のある男性社員が登壇し、管理職向けには男性の育休を推進する研修を実施するなど、男性も育休を取得しやすく、復職後も仕事と育児を両立しながら活躍できる風土の醸成を図っている。
こうした社内の取組みの結果、2020年度は、男性の育休取得率は23.6%となった。また、育休に配偶者の出産や育児事由によって付与される日産独自の休暇を含めると、男性の休暇取得率は60.4%と大幅に向上している。日産では、これまでも性別に関係なく、男性も女性と同様の期間の育休を取得できる制度を整備しているが、今回の改正育児介護休業法を更なる取得促進の機会と捉え、改めて社内制度の活用や育休取得日数を増やすよう促すなど取り組みを強化。そして、従業員一人ひとりが多様な働き方によって、継続して力を発揮できる環境の実現を目指している。