日産自動車と、北海道日産自動車、札幌日産自動車、日産プリンス札幌販売は、9月12日、札幌市と「災害時の避難所等における次世代自動車からの電力供給の協力に関する協定」を締結した。
協定は、「災害等による大規模停電が発生した際に、札幌市が指定する避難所等へ、市内の日産販売会社より電気自動車「日産リーフ」を貸与し、非常用電源として活用することで、避難所の円滑な災害応急対策を実施する」というもの。
札幌市は、「平成30年北海道胆振東部地震」から1年が経過し、災害時における次世代自動車の活用が重要であると位置付け、同協定を日産の他、3自動車メーカー、および、その札幌市内販売会社においても締結した。
その中で日産は唯一、以下、電気自動車「日産リーフ」の強みを生かした電力供給を行う。
・ガソリンを一切使用しないクルマであることから、ガソリン不足の際にも停電が発生していない地域で充電し電力を輸送することで、その蓄電能力をフルに活用できる。
・CO2排出ゼロであることから、避難者への排ガスによる影響はなし。
・北海道内の急速充電器設置数は、道内307箇所、札幌市内82箇所と、インフラも拡充している。
・ガソリン不足の際には、クルマ本来の機能である移動手段として、ガソリン車に代わって利用できる。
日産は、昨年の地震発生の2日後、ガソリン供給が不足しているむかわ町と厚真町、安平町へ「日産リーフ」2台を貸与。また、北海道内の日産販売会社は、停電が解消され次第、店舗に配備している急速充電器を稼働させ、その稼働状況を公開し、EVへの電力供給を開始した。
さらに、地震発生直後に札幌市が主催したイベントでは、電力不足の中、発電機として「日産リーフ」が活用された。
日産は、2018年5月に、日本が抱える地球温暖化や災害対策等の課題を解決するための活動、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を発表。
ブルー・スイッチの開始以降、多くの自治体や企業と共に、防災、温暖化対策、過疎、観光、エネルギーマネジメントなどの様々な地域特有の課題に対し、電気自動車の価値を活用して課題を解決し、地域社会の変革や地方創生に貢献する取り組みを行っている。
この活動に対して、昨年だけでも北海道胆振東部地震、平成30年7月豪雨や台風21号、24号などの自然災害による停電が全国で700万件以上も発生するなど、昨今の状況受けて、特に自治体から、動く蓄電池として使用できる電気自動車を停電時の電力源として活用したい、との声が多く寄せられていると云う。
日産は、このような災害の対策の一環として昨年9月、東京都練馬区と「災害時における電気自動車を活用した電力供給に関する連携協定」を締結。
これを皮切りに、北海道のセコマ、熊本県熊本市、三重県など、既に9つの自治体や企業と連携協定を締結しており、今回の札幌市とは、日産として10番目の連携協定締結となる。
なお、これまでに連携協定を締結した自治体とは、災害警報発生時の速やかな「日産リーフ」の派遣など、防災訓練を通して、災害への十分な備えが構築できていると云う。
「日産リーフ」は、世界初の量産型電気自動車として、2010年に発売。また今年1月には、初代モデルと比較してほぼ3倍となる570km(JC08モード)の航続距離を実現した「日産リーフe+」が発売されている。
「日産リーフe+」は、62kwhという大容量バッテリー搭載により、災害対策本部の電力であれば、4日分、避難所(公民館等の想定)1日分の電力を賄える能力を持っている(満充電の場合)。
日産は、『ブルー・スイッチ』の取り組みを今後更に加速させ、特に電気自動車を活用した災害対策について、2019年度末までに約30の自治体や企業と連携する予定。
今回の協定を機に、日産グループは、今後、災害に強い札幌市のまちづくりに向けて、札幌市との連携を強化していくとしている。