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2019年4月3日【社会インフラ】

日産ら、米・加州のEV実証事業にチャデモ式超高速充電器を導入

NEXT MOBILITY編集部

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日産自動車、兼松の3者は、米国カリフォルニア州で2015年から実施中の電気自動車(EV)の利用範囲拡大を目指す実証事業において、従来の2倍の出力で充電することで、EVの充電時間の短縮を図るため「CHAdeMO(チャデモ)」規格による出力100kWのEV用超高速充電器を導入し、運用を開始した。

 

また合わせて、EVドライバー向けスマートフォンアプリ「DRIVEtheARC」に、充電ステーションでの充電予約機能を追加。同アプリを通じて特定の充電器での事前予約を可能とし、充電時の混雑緩和による快適なEV利用につなげていきたいとしている。

 

 

3者は、今回のハード、ソフト両面の強化を通じて、従来から取り組んでいる急速充電器の設置などによるEV行動範囲拡大の有効性の実証やさまざまなEV行動データの収集・分析の精度向上を目指す。

 

また、電池容量が異なるEVの運転・充電行動の多面的な分析のほか、充電器の予約から利用までのドライバーの行動の分析にも新たに着手し、EVの利用距離延伸の可能性の評価に取り組む。

 

 

 

 

世界的に電気自動車(EV)普及の動きが広がる中、米国では早くからEVに注目し、さまざまな取り組みを実施している。

 

特にカリフォルニア州は、2030年までに500万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付けている(ZEV規制)。

 

また、EV購入者は優先レーンの通行許可が得られるなど、優遇措置を充実させ、自家用EVの販売台数が最も多い州となっている。

 

 

 

 

一方、EVの普及が進む同州でも、現状では、EVは充電インフラが比較的整備されている都市部での近距離移動などを主とする、限定的な使われ方をされていると云う。

 

このような背景の中、日産と兼松は、NEDOプロジェクト(※1)の下、米国カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム情報サービスの提供を通じたEV利用頻度向上と行動範囲拡大を目指す実証事業に2015年から取り組んでいる。

 

2017年11月14日には、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの約530キロメートルの区間内の25カ所に出力50kWのEV用急速充電器55基を設置し、実証事業を本格始動(※2)した。

そして今回、今後のEV車載電池の大容量化を踏まえ、EVの充電時間のさらなる短縮(※3)を図るため、日本発の充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」に対応した超高速充電器を1基設置した。

 

超高速充電器の出力は、EV車載電池の受電性能と充電器維持費の効率性を考慮して、既設充電器の2倍となる100kWとし、市場の状況に応じて今後の出力増強も視野に入れる。

 

さらに2019年5月には、同様の超高速充電器を1基を追加して設置。大容量で超高速充電が可能な電池を搭載するEVと、超高速充電非対応の中・小容量電池を搭載するEVの運転・充電行動を比較することで、電池容量の違いを考慮したEVの運転・充電行動の多面的分析を可能にすると云う。

 

 

 

 

また、2017年11月からEVドライバー向けに提供しているスマートフォン(スマホ)用リアルタイム情報アプリ「DRIVEtheARC」に、特定の充電ステーションで充電予約ができる機能を追加し、提供を開始。

 

スマホアプリからの事前利用予約により、利用者が増加している都市部の充電ステーションでの充電時の混雑緩和を目指すとともに、充電器の予約から利用までのEVドライバーの行動を分析することで、EVの快適な利用環境と利用距離延伸の可能性を探るとしている。

 

 

 

 

また今後、異なる電池容量のEV運転・充電行動に対して「DRIVEtheARC」が与える影響の分析や、運転・充電行動データの集積と分析を進めることで、充電ステーションの混雑予想情報の精度を高め、全体最適案内の機能拡張を実施する予定。

 

EVドライバーの運転行動統計情報など、本実証事業で得た情報を通じて、日産と兼松は、EVのリアルタイムデータの蓄積やビッグデータビジネスの検討を進めていくとしている。

 

 

※1)プロジェクト:事業名「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業/米国加州北部都市圏におけるEV行動範囲拡大実証事業」。事業期間:2015年度~2020年度。

 

※2)実証事業を本格始動:NEDOニュースリリース「米国カリフォルニア州でEV利用範囲拡大を目指す実証事業を本格始動」<https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100879.html

 

※3)EVの充電時間のさらなる短縮:充電時間が最大で半減する事が期待されるが、充電時間の短縮可否と短縮度合いは、EVの車載電池性能などの条件によって異なる。なお、2018年3月末時点で、CHAdeMO認証済みの充電器の機種は49社、240機種。CHAdeMO規格の超高速充電器に対応する電動車両は17社の25車種。(出典元:CHAdeMO協議会ホームページ)

 

 

■DRIVEtheARC:https://drivethearc.com/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。