ちなみに今から3年余り前の2017年5月、東京ハイヤー・タクシー協会の会長職であった川鍋一朗氏(現在も同協会会長)は、自社傘下のJapanTaxiが当時運営を手掛けていた東京ハイヤー・タクシー協会の共通配車アプリ「スマホdeタッくん 」からの同月末での脱退を宣言(以降、共通アプリの運営自体も撤退し、以降はスマホdeタッくんのシステム運用をテクノシステムが担う)した。
この時期の東京ハイヤー・タクシー協会の配車可能台数は1万2000台。川鍋氏はここから、自社グループのおよそ3400台を同共通配車アプリ環境から離脱させてまで〝タクシー配車アプリのオリジナルモデル化〟に拘った訳だが、その目論見が今回の経営統合を迎えて、新たな次元へと踏み出すことになる。
あれから約3年。タクシー配車アプリについてはDeNAの「MOV」を筆頭に、国際自動車グループの「フルフル」、ソニーの「S.RIDE(エスライド)」やソフトバンクグループの「DiDi(ディディ)」など様々な企業が新規参入を果たしてきた。対して「JapanTaxi」に社名変更してから足掛け5年間〝夢〟を繋ぎ続けて来た川鍋氏の立場としては、タクシー利用者を乗せている実稼働率が、2〜3時間ともいわれている同産業の根本的な業務改革を引っ括めて、より思い切った施策を打ち出してみたいという想いもあるだろう。
そうしたなかで両社は、現行サービスの高度化を図っていく過程で、昨今、社会問題化している高齢化に伴う移動困難者などの限られた対象のみならず、移動したい時に誰もが自由に移動できる世界を実現。既存のタクシー事業の枠を超えた全く新しい〝移動サービスの姿〟を目指して行く構えだという。