国内タクシー大手の日本交通は8月24日・25日の2日間で、葛西営業所に所属するタクシー乗務員の「運転地理検定」を実施。33名の新卒採用乗務員が受検した。2023年2月に移転リニューアルされた同営業所は、新卒採用による乗務員のみで構成される業界初の営業所となる。
7月末現在、営業所には160名の乗務員が在籍。平均年齢は24.5歳となっていることから、社員間のコミュニケーション促進を図るべく新卒乗務員の自主運営による社員向けカフェが導入されている。
また併せて乗務員としてのモチベーションとスキル向上の一環として、運転地理検定の取得を推進している。結果、既に2021年1月に当時在籍していた全乗務員の28名が、運転地理検定「都心部3級」の取得に挑戦して資格を取得した。
しかしその後に営業所乗務員が増員となったことから、新たに配属となった乗務員に対して第2回目の団体受検を実施。2021年度、2022年度配属者の約半数にあたる33名がこの団体受検に参加した。
特に同営業所では先の通り、在籍する乗務員全員が新卒採用の若い乗務員であることから、地理学習を通じて乗務員としてのスキルアップを図ることが顧客の満足度向上に繫がるだけでなく、地理知識の習得度合いを見える化することで、自身のキャリアアップに取り組めるようになるという。
実際、2019年10月に同社が実施したインターネットリサーチ(男性563名、女性137名)では、東京のタクシーサービスの水準が「悪い」「非常に悪い」と回答した21名の顧客が挙げた理由(複数回答)が、「乗務員の接客態度が悪い」52.4%、「地理に詳しくない」42.9%、「運転が乱暴」38.1%、「車内の匂いが気になる」33.3%、「車内が清潔でない」23.8% というものであった。
顧客がタクシーサービスを「悪い」と感じる際、多くの方が「乗務員の接客態度の悪さ」に次いで「地理に詳しくない」ことを理由として挙げており、タクシーサービスの改善に於いて地理知識の向上は重要な課題であると同営業所でも認識している。
なお今回の運転地理検定は、一般社団法人運転地理検定協会が実施するもので、特にプロドライバーの運転において必要な地理知識の習熟度を測るもの。
東京をはじめとする首都圏エリアの交差点、道路、施設などについて記述を中心に答える難易度の高い検定となる。地理知識の習熟は、効率的な運行の実現の他、事故・違反防止など安全運転にも直結するものであり、安心・安全な個別輸送機関の実現という社会的要請に大きく貢献する。
日本交通では、「運転地理検定はハイヤー乗務員において2019年10月より団体受検を実施していますが、これをタクシー乗務員にまで対象を広げることで、サービスの質の更なる向上を目指します」と結んでいる。