脱炭素社会化へモータの高効率化で挑むネクストコアテクノロジーズ( NTC / Next Core Technologies, Inc. )は8月26日、世界初の打抜き加工が可能な高Bs( 飽和磁束密度/磁性体ことコアが磁気飽和する時の磁束密度のことを指す )低鉄損コア材「HLMET®( ヘルメット )」の量産化に成功した。同社によると2024年内に生産体制を整備し、2025年から本格的に顧客企業様への提供を開始する予定という。
ちなみにネNCTことクストコアテクノロジーズは、「持続可能な地球の実現」に向けて中小製造業3社により設立されたクライメート テック スタートアップ。革新的な高効率モータの開発を行うたに2022年に設立。脱炭素社会の実現を目指すアモルファスモータコアの研究開発企業だ。
会社概要
社 名:ネクストコアテクノロジーズ株式会社( https://www.nextcore.jp/ )
代表者:代表取締役 山本 勇輝氏
所在地:京都府宇治市大久保町成手1-30(HILLTOP株式会社 内)
写真は2024年5月14日に、日本アントレプレナー大賞・サイエンス部門で部門賞を獲得した際のNCT代表取締役の山本 勇輝氏
そんな同社が開発したHLMETは、電磁鋼板と同等の飽和磁束密度( Bs≧1.8T )を確保しながら、鉄基アモルファス合金と同等の低鉄損性能を有したコア素材。様々なモータの小型・高出力化に貢献することに加えて、電力損失を従来モータに比べて70%程度低減可能な省エネルギーモータが実現できるとしている。
これまでこのような高Bs低鉄損材は、高性能モータ向けコア材として多くの企業が実用化に向けて取り組んできたのだが、従来の高Bs低鉄損材は、何れも鉄基合金の金属組織を数10nm( ナノメートル:1nmは1mmの1/1,000,000 )の微細結晶組織にすることで高Bs低鉄損性能を得ていた。
但し同手法でナノ結晶化することで性能を確保できるものの、素材が脆くなるためにモータコア化が難しく、実用化に至っていなかった。対してNCTが開発・発表したHLMETは、この課題解決に取り組んだ結果、およそ0.1nmの結晶前駆体レベルまで微細化する金属組織制御技術によって解決に至った。
また、従来のナノ結晶材では必須であった結晶化熱処理がHLMETでは不要あり、結晶化熱処理を必要としない高Bs低鉄損材の製造プロセスを世界で初めて実現した。HLMETは家電やEVだけでなく、FAや次世代空モビリティといった低回転域から高トルクが必要な様々なモータへの採用が見込まれるという。