中日本高速道路(NEXCO中日本)は、高速道路ドライブアドバイザーが行う数ヶ月先の渋滞予測を、AIを活用して予測する技術の開発を始めた。
今年お盆の交通混雑期に、AIによる渋滞予測の結果を検証し、今後の渋滞予測業務への活用を目指す。
なお、NEXCO中日本では、i-MOVEMENTプロジェクトとして最新のICT技術を活用した新しい取り組みを進めており、AIの活用による渋滞予測技術の開発もその取り組みのひとつとなる。
1.高速道路ドライブアドバイザーによる渋滞予測
交通混雑期などの数ヶ月先となる渋滞予測は、高速道路ドライブアドバイザーが過去の渋滞実績を重ね合わせ、曜日配列や道路状況の変化、周辺イベントの影響などを考慮して予測してきた。
<従来の渋滞予測の手法>
(1)過去の渋滞実績の重ね合わせ(3年分)
(2)過去の渋滞実績の精査
(3)補正作業
・直近の交通動向の反映
・近接する渋滞の結合、接続する路線への影響
・曜日配列の影響
・道路状況の変化(新規開通、付加車線の設置など)
・周辺イベントの影響
開発する技術は、高速道路ドライブアドバイザーが行う渋滞予測において、データ取得を自動化し、手作業で行ってきた上記(1)~(3)の作業にAIを活用。渋滞実績の重ね合わせや補正作業などの作業時間を大幅に短縮し、業務の高度化や効率化を図る。
※1:データクレンジングは、データベースに保存されているデータの中から、重複や誤記などを探し出し、削除や修正、正規化などをおこない、データの品質を高めること。
2.AIの活用による渋滞予測
AIによる渋滞予測モデルでは、過去の渋滞実績データを機械学習し、将来のある日時や場所における交通集中に伴う渋滞発生の有無と渋滞長を予測。
今回は、管内の全路線のうち、過去に渋滞が発生している主要なボトルネックを対象とし、2013年から2017年までの5年分の渋滞実績データを教師データとして学習に使用する。
3.今後の展開
今後NEXCO中日本は、予測結果の検証を重ね、教師データの充実やAIの予測精度を向上。事故や異常気象などの突発事象や工事規制に伴う渋滞など、AIによる渋滞予測の対象範囲の拡大を検討する。
これにより高速道路ネットワークを活用した迂回経路情報などの充実を図り、利用客への影響を最小限とすることを目指すとしている。
4.その他、保全・サービス事業の高度化の展開
NEXCO中日本は、保全・サービス事業において、高速道路オペレーションの迅速化・省力化、機械化による現場点検作業や日常的な維持作業の高度化・効率化や、既存の業務プロセスやマニュアルの見直しなど、10年先を見据えた高速道路管理の改革プロジェクト(i-MOVEMENT)に着手。
i-MOVEMENTプロジェクトでは、すでに確立された製品やサービスを速やかに導入するとともに、更なるオープンイノベーションを推進するため、社外の最先端技術や知見を取り入れる仕組みを導入していくとしている。