中日本高速道路(NEXCO中日本)は、グループ会社である中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋およびフォーラムエイトと共同で、高速道路上の除雪車両のオペレーターの育成を目的とした「車両操作シミュレーター(写真1:タイトル写真左)」を開発した。
なお、車両操作シミュレーターは、同社が推進する「i-MOVEMENT(アイ・ムーブメント/※1)」の取組みの一環でその戦術の一つの「雪氷作業の機械化による省力化」につながる技術として開発された。
NEXCO中日本グループでは、雪氷作業に不可欠な除雪車両のオペレーターの高齢化や労働人口の減少に伴う担い手不足などに備え、新規オペレーターの育成が急務になっていると云う。
高速道路の除雪は、車道全体を1回で除雪(写真2)するため、複数の除雪車両による「梯団除雪」が基本。そのため、オペレーターは、運転しながらスノープラウの操作を同時に行い(写真3)、車道に極力雪を残さない高度な運転技能が求められるが、実車両による技能を習得する機会が少ないことが課題となっていた。
そこで三社は今回、実車両に近い状態で除雪車両のオペレーション訓練ができる除雪車両のコックピットを再現した「車両操作シミュレーター」を開発。
開発品は、除雪車両のオペレーションの訓練がより実車両に近い感覚で行え、冬期以外でもその習得ができるよう、特殊な気象条件下での慣熟訓練や、季節や時間帯を問わず訓練を行えるほか、訓練結果を5段階で評価するなどの機能を備え、運転技能の早期向上が期待できると云う。
<主な機能>
・実際の高速道路環境(橋梁・トンネル・料金所などの施設や道路のカーブ・勾配など)を再現。
・除雪時の振動を運転席で体感できる機能。
・操作情報や走行情報などを保存し、訓練後に車両走行や除雪状況を再生するリプレイ機能。
・3台までのシミュレーターによる梯団除雪を想定した連携訓練が可能。
・オペレーターが1人で訓練する場合でも他の梯団除雪車両の操作を自動的におこなう自動運転機能。
・訓練結果に対して5段階評価をおこなう機能。
NEXCO中日本グループでは、今冬期からメンテ名古屋の彦根基地(E1 名神高速道路 関ヶ原IC~八日市IC、E8 北陸自動車道 木之本IC~米原JCTの除雪を担当)にこれを導入し、オペレーター未経験者や経験年数が浅い人を中心に訓練を開始する予定。今後、シミュレーターの実用性などを検証し、他の雪氷基地への導入も検討するとしている。
※1)-MOVEMENT:最先端のICT技術・ロボティクス技術の導入により、人口減少などの高速道路を取り巻く環境の激変に対応しつつ、高速道路モビリティの進化を目指すNEXCO中日本の活動(ムーブメント)を表現している。
innovative -Maintenance & Operation for Vital-Expressway Management with Efficient “Next generation” Technology(次世代技術を活用した革新的な高速道路保全マネジメント)。