中日本高速道路(NEXCO中日本)は、高速道路の情報板などで、ETC2.0プローブデータを活用した所要時間情報の提供を開始した。
この取組みは、同車が推進する「i-MOVEMENT(アイ・ムーブメント/※)」の一環として、その戦術の一つである「ドライバー行動変容に向けた交通需要マネジメント」につながる技術になると云う。
現在の所要時間の算出方法
NEXCO中日本では、高速道路の利用者に、所要時間情報板などで主要なインターチェンジ(IC)までの所要時間を提供している。
現在の所要時間は、2km間隔で路面に埋め込まれた車両感知器で計測した走行速度を基に算出しているため、特に、車両の停滞や発進・停止が頻発する箇所では、正確な速度の計測が困難で、所要時間の精度が低下する場合があった。
ETC2.0プローブデータを活用した所要時間の算出方法
ETC2.0プローブデータは、ETC2.0車載器を搭載した車両の位置や速度などの走行データで、高速道路では、200m間隔で路側にアンテナを設置してデータを取得。自動的に蓄積したこのデータを活用することで、よりきめ細かな速度変化の情報を反映した所要時間の算出を可能とし、交通混雑期や事故などによる激しい渋滞が発生した場合の所要時間情報の精度向上を図る。
ETC2.0プローブデータの活用による効果検証
2020年のお盆の交通混雑期に、E1 東名高速道路(東名) 東京IC~厚木IC間で所要時間の精度を検証した結果、車両感知器による算出と比較して、より高精度な所要時間の算出、特に渋滞時のきめ細かな速度変化の情報が反映されていることを確認した。
・非渋滞時:
車両感知器により算出した所要時間は、実際の所要時間と比較して95%程度の精度となり、ETC2.0プローブデータの精度も同程度だった。
・渋滞時:
車両感知器により算出した所要時間には実際の所要時間との乖離が見られたが、ETC2.0プローブデータの精度は非渋滞時と同程度だった。
NEXCO中日本は、ETC2.0プローブデータを活用した情報提供を首都圏から開始し、その状況を継続的に検証したうえで、順次、管内全域へ展開するとともに、提供ツールの改善を進め、情報提供の高度化に取り組んでいくとしている。
※i-MOVEMENT(innovative -Maintenance & Operation for Vital-Expressway Management with Efficient “Next generation” Technology/次世代技術を活用した革新的な高速道路保全マネジメント):最先端のICT技術・ロボティクス技術の導入により、人口減少などの高速道路を取り巻く環境の激変に対応しつつ、高速道路モビリティの進化を目指すNEXCO中日本の活動(ムーブメント)。