安倍内閣総理大臣は5月25日、総理大臣官邸で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策本部を開催し、21日の緊急事態宣言の解除から除かれていた関東の1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)と北海道について、専門家会議で策定された緊急事態措置の解除基準に照らし、諮問委員会からの賛同も得て、緊急事態措置を解除した。
これを以て、4月7日に宣言され、約1カ月半に及んだ改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態は、全面解除となった。
政府は今後、新しい生活様式の定着や、感染拡大防止に向けた業種別ガイドライン等の実践を前提に、概ね3週間ごとに、地域の感染状況や感染拡大リスク等について評価を行い、外出の自粛、イベント等の開催制限、施設の使用制限の要請等について、段階的に緩和していく。しかし再び、感染拡大が認められた場合には、経済・雇用対策を講じつつ、強い感染防止策等を講じるとしている。
また同日、新たにインド等11か国を入国拒否対象地域に追加するとともに、これまで実施してきた水際対策について、その期間を延長し、6月末まで継続することを決定した。
[安倍総理の発言(全文ママ)]
「4月7日に緊急事態宣言を発出してから、7週間弱が経過いたしました。
今般、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つの解除基準に照らし、残る5つの特定警戒都道府県について改めて評価を頂き、諮問委員会からの御了承の下、本日、関東の1都3県、北海道について、緊急事態措置を解除することとします。
これによって、全都道府県において緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められることから、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態の解除を宣言いたします。
この間、外出自粛や3密回避を始め、多大な御協力・御辛抱を頂いた全ての国民の皆様に心から感謝を申し上げます。
そして、感染リスクと背中合わせの過酷な環境の下、強い使命感を持って全力を尽くしてくださった医療従事者の皆様に改めて敬意を表したいと思います。
これから、コロナの時代の新たな日常をつくり上げてまいります。
緊急事態の解除後においても、感染拡大のリスクをゼロにすることはできません。そのため、一定の移行期間を設け、感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととします。
具体的には、概ね3週間ごとに、地域の感染状況や感染拡大リスク等について評価を行いながら、外出の自粛、イベント等の開催制限、施設の使用制限の要請等について段階的に緩和してまいります。
段階的緩和に際しては、新しい生活様式の定着や、感染拡大防止に向けた業種別ガイドライン等の実践が前提となります。
社会経済活動を継続して引き上げることができるよう、国民の皆様には、引き続き、3密の回避や人と人との距離の確保、マスクの着用を始めとした基本的な感染対策の継続・徹底をお願いしたいと思います。
政府としては、次なる流行にも十分対応することができるよう、医療提供体制の維持に向けて万全の備えを固めるとともに、検査体制の強化等にも取り組んでいきます。
そして、もし再び、感染拡大が認められた場合には、的確な経済・雇用対策を講じつつ、速やかに、強い感染防止策等を講じてまいります。
世界に目を向ければ、感染は、今なお、拡大を続けています。本日、新たにインド等11か国を入国拒否対象地域に追加するとともに、これまで実施してきた水際対策について、その期間を延長し、6月末まで継続することを決定いたしました。
さらに、これから本格的な出水期を迎えますが、避難所における感染拡大の防止にも十分留意する必要があります。地方自治体におかれては、ホテルや旅館等の積極的な活用も含めた可能な限り多くの避難所の開設、マスク等の備蓄など、必要な対策を講じて下さい。
政府としても、災害発生時には、感染防止対策を含め、必要な物資をプッシュ型で、これまで以上に迅速に支援することができるよう準備に万全を期してまいります。
緊急事態が全面解除され、私たちは、次なるステージに向けて、一歩を踏み出すこととなります。
政府においては、コロナの時代の新たな日常をつくり上げるチャレンジに、国民の皆様と一体となって取り組んでまいります。各位にあっては、引き続き、対応に全力を挙げてください」。