NEDOは12月4日、将来の国家プロジェクト化への道筋をつけることを目指した先導研究プログラムの新たな公募を開始したことを発表した。
先導研究プログラムのうち、「デジタル技術を用いた強靱な電力ネットワークの構築」「最先端のGHG削減技術の活用」「最先端のバイオ技術等を活用した資源利用及び農地・森林・海洋へのCO2吸収・固定」「農林水産業における再生可能エネルギーの活用&スマート農林水産業」の4分野で、革新的な技術開発を加速度的に実施。これらの取り組みを通じ、2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現など、社会システムの変革につながる技術開発を推進する。
1.概要
新型コロナウイルス感染症拡大からの景気回復に向けて、欧州を中心に「グリーンリカバリー」が提唱され、環境分野への投資などをトリガーにした経済復興が図られている。日本においても、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした情勢の変化を巡り、社会システムを大きく変革するイノベーションを創出するとともに、その源泉となる研究力の強化が喫緊の課題となっている。
このような背景の下、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、省エネルギー・新エネルギー・CO2削減などのエネルギー・環境分野および新産業創出に結びつく産業技術分野において、2030年以降の社会実装および2050年頃を見据えた革新的な技術・システムの先導研究に産学連携の体制で取り組んでおり、12月4日から新たに公募を開始した。
このエネルギー・環境新技術先導研究プログラムでは、最終到達点として「脱炭素社会」を目指す、「革新的環境イノベーション戦略」(2020年1月21日統合イノベーション戦略推進会議決定)を受け、「デジタル技術を用いた強靱な電力ネットワークの構築」「最先端のGHG削減技術の活用」「最先端のバイオ技術等を活用した資源利用及び農地・森林・海洋へのCO2吸収・固定」「農林水産業における再生可能エネルギーの活用&スマート農林水産業」の4分野について、革新的な技術開発を加速度的に実施する。
さらには、エネルギー・環境新技術先導研究プログラムおよび新産業創出新技術先導研究プログラムについても、12月下旬以降、順次公募を行うことを予定している。
2.先導研究プログラムの各事業の概要
【1】エネルギー・環境新技術先導研究プログラム(12月4日公募開始/さらに12月下旬以降公募予定)
飛躍的なエネルギー効率の向上を含む脱炭素社会の実現につながる有望な技術を対象に、2030年以降の実用化を見据えた革新的な技術・システムを開発する。(最大2年、1件あたり年間1億円以内)
[課題及び技術開発テーマ (12月4日公募開始)]
– デジタル技術を用いた強靱な電力ネットワークの構築
・系統コストを抑制できるデジタル技術によるエネルギー制御システムの開発
– 最先端のGHG削減技術の活用
・分野間の連携による横断的省エネ技術の開発・利用拡大
・未利用熱・再生可能エネルギー熱利用の拡大
– 最先端のバイオ技術等を活用した資源利用及び農地・森林・海洋へのCO2吸収・固定
・ブルーカーボン(海洋生態系による炭素貯留)の追求
– 農林水産業における再生可能エネルギーの活用&スマート農林水産業」
・農山漁村に適した地産地消型エネルギーシステム構築
・農林業機械・漁船の電化、燃料電池化、作業最適化等による燃料や資材の削減(農林水産業のゼロエミッション)
[技術開発テーマ(2020年12月下旬以降、順次公募予定)]
– 再生可能エネルギーを主力電源に
・設置場所の制約を克服する柔軟・軽量・高効率な太陽光発電の実現
– 多様なアプローチによるグリーンモビリティの確立
・自動車、航空機等の電動化の拡大(高性能蓄電池等)と環境性能の大幅向上
・燃料電池システム、水素貯蔵システム等水素を燃料とするモビリティの確立
・カーボンリサイクル技術を用いた既存燃料と同等コストのバイオ燃料・合成燃料製造や、これら
燃料等の使用に係る技術開発
– 化石資源依存からの脱却(再生可能エネルギー由来の電力や水素の活用)
・プラスチック等の高度資源循環技術の開発
– 最先端の GHG 削減技術の活用
・分野間の連携による横断的省エネ技術の開発・利用拡大
– 最先端のバイオ技術等を活用した資源利用及び農地・森林・海洋への CO2吸収・固定
・バイオマスによる原料転換技術の開発
【2】新産業創出新技術先導研究プログラム(12月下旬以降公募予定)
新産業の創出に向けた有望な技術を対象に、中長期的な将来の社会実装を見据えた革新的な技術・システムを開発する。
[先導研究プログラムの公募における課題名(例)]
– 持続可能な産業発展や新需要創出につながる革新的研究開発等
(具体的な課題については、公募開始時点に掲載)