NECのインド現地法人でニューデリーに本社を置くNEC Technologies India(NECTI)は、CSC e-Governance Services India(CSC社)に出資し、インドの農村地域で生活する約9億人にデジタルサービスを提供するため、同社と戦略的提携を開始する。
出資完了時期は6月中を予定しており、出資によりNECTIはCSC社の第3位の株主となる。
インド政府は、ITを活用した農村地域の行政サービス高度化を目的として、共通サービスセンター(CSC: Common Service Centre/※)をインド国内約30万箇所に設置。
CSC社は、全国の共通サービスセンターを統括する特別目的会社として、センターが住民に提供するサービスの開発や、各センターの運営者に対する経営アドバイスなどを提供。
共通サービスセンターを通じて、行政書類の発行や補助金の交付などの公共サービスや、携帯電話契約や保険商品の販売といった民間サービスなど300種類以上もの住民サービスを提供している。
NECTIは、今回のCSC社との提携により、AIやビッグデータ解析技術を活用して膨大な取引データを分析し、金融・教育・ヘルスケアなどの分野における新たなデジタルサービスをCSC社と共同で開発。また、データ分析に基づく経営支援サービスを共通サービスセンターに提供することも、今後両社で検討していく。
NECTIとCSC社はこの提携に先立ち、2017年からインド国内の銀行と連携し、あらゆる人々に正規の金融サービスを提供するファイナンシャル・インクルージョンの活動を推進。
具体的には農村地域など、銀行窓口やATMへのアクセスが不便な人々に対して、共通サービスセンターで生体認証による本人確認を行うことで、入出金や振込、政府からの補助金の受給などの銀行サービスをセンター内で完結できる仕組みを構築している。
NECとCSC社は今後、協業関係を強化し、共通サービスセンターで提供するサービスの高度化を進め、利便性を向上することで、農村地域の人々に様々な領域での均等な機会と付加価値を提供し、豊かで公平な社会の実現に貢献していくとしている。
※:インド全土に展開されている、公共サービスや社会福祉給付、健康管理、金融、教育、農業など各種サービスが受けられるICTセンター。