ナビタイムジャパンの交通コンサルティング事業は7月20日、2021年7月1日(木)~3日(土)まで、関東・東海地方南部を中心に発生した大雨に伴う自動車の交通影響調査を発表した。
今回の大雨で特に7月3日(土)頃から、東名高速道路や小田原厚木道路、横浜横須賀道路など、主に首都圏の各高速道路において、路面冠水や土砂崩れなどによる道路通行止めが発生した。このうち、横浜横須賀道路では逗子IC付近で発生した土砂崩れにより、朝比奈IC~馬堀海岸ICの上下線で一時通行止めが発生している。
この分析では、横浜横須賀道路に着目し、通行止めが発生した7月3日(土)の交通状況を対象に、自動車の走行経路変化や周辺道路の混雑状況を分析した。
なお、分析にはナビタイムジャパンが提供するカーナビアプリ(『カーナビタイム』、『トラックカーナビ』他)から取得した走行実績データを活用し、通行止めが開始された7月3日(土)の9時~21時(以下、通行止め時)の交通状況を、前週6月26日(土)(以下「平常時」)および翌週7月10日(土)(以下「解除後」)の同時間帯の状況と比較した。
■走行経路の変化
朝比奈IC手前を走行する自動車の約80%が国道16号・県道204号線方面に転換
横浜横須賀道路下り線、朝比奈IC手前(保土ヶ谷JCT側)を通過する自動車の走行経路を可視化すると、平常時は約80%が横浜横須賀道路を逗子IC方面に走行していることがわかる。一方、通行止め時は、全自動車が朝比奈ICで一般道に降り、横須賀方面へは国道16号や県道204号線を利用したため、平常時と比較すると交通量は約30%増加した。また、県道205号線方面へも約20%の自動車が走行している。
このことから、平常時に横浜横須賀道路を利用し横須賀・逗子方面に走行する自動車が朝比奈ICから国道16号や県道205号線に迂回したことが推察される。なお、解除後に朝比奈ICを走行する自動車の経路は平常時と同傾向であることがわかる。
首都高速道路湾岸線から流入する自動車の約75%が国道357方面に転換
横浜横須賀道路と首都高速道路湾岸線との接続部付近(羽田空港側)の自動車の走行経路を可視化すると、平常時は約54%が横浜横須賀道路金沢支線を釜利谷JCT方面へ、約46%が幸浦ICから国道357号へ走行していることがわかる。一方、通行止め時は、幸浦ICから国道357号を横須賀方面に走行している自動車が約75%と、平常時と比較し約29%増加していることがわかる。
このことから、平常時に首都高速道路湾岸線から横浜横須賀道路金沢支線を利用し横須賀・逗子方面に走行する自動車の一部が幸浦ICから国道357号に迂回したことが推察される。なお、解除後に同箇所を走行する自動車の経路は平常時と同傾向であることがわかる。
■走行速度の変化
国道16号や並行する県道が混雑
平常時・通行止め時・解除後の横浜横須賀道路および周辺道路を走行する自動車の平均走行速度を可視化した。平常時と通行止め時の速度を比較すると、国道16号追浜町付近では30~35km/h、田浦町付近では20~25km/hほど速度が低下していることがわかる。また、横浜横須賀道路と交差する県道24号線東逗子駅付近では15~20km/h、並行する県道217号線南郷トンネルでも25~30km/h速度が低下している。
このことから、横浜横須賀道路の通行止めにより走行経路が一般道に転換した結果、周辺の一般道で平常時よりも混雑していることが推察される。なお、解除後の走行速度は平常時と同傾向であることがわかる。