ナビタイムジャパンの交通コンサルティング事業は10月11日、狭山環状有料道路(狭山大橋)の無料開放による交通影響調査を発表した。
埼玉県狭山市内にある狭山環状有料道路は、国道16号や入間川を渡る狭山大橋を横断する全長1.8kmの有料道路。これまで狭山環状有料道路の利用には通行料金が発生していたが、料金徴収期間の満了に伴い2021年7月28日(水)0時より無料開放された。このことより、経済活動の活性化や更なる利便性の向上が期待されている。
調査では、狭山環状有料道路と、並行する県道126号と397号、国道16号に着目し、無料開放前後の自動車の交通量変化を分析。なお、分析にはナビタイムジャパンが提供するカーナビアプリ(『カーナビタイム』、『トラックカーナビ』他)から取得した走行実績データを活用し、無料開放前30日間(6月28日(月)~7月27日(火))と開放後30日間(7月28日(水)~8月26日(木))の交通状況を比較した。
■分析結果
①狭山環状有料道路・国道16号の交通割合の変化
【結果1】狭山大橋を通行する車両のうち、国道16号からの右折流入が約10%増加
狭山環状有料道路の無料開放前後で、国道16号から狭山大橋方面へ走行する自動車台数の割合を調査した(図2赤点線の経路)。
狭山大橋方面へ右折する自動車が12%から23%と約10%増加していることがわかる。このことから、無料開放により国道16号を利用するドライバーの一部が狭山環状有料道路に転換したことが推測される。
【結果2】県道126号を狭山大橋方面へ直進する車両が約30%増加
狭山環状有料道路の無料開放前後で、県道126号を狭山大橋方面へ直進する自動車台数と、国道16号上奥富(中)交差点を左折する自動車台数に着目し調査した(図3赤点線の経路)。
狭山大橋方面へ直進する自動車が14%から42%と約30%増加し、国道16号上奥富(中)交差点を左折する自動車が65%から41%と約25%減少していることがわかる。このことから、国道16号を利用するドライバーの一部が狭山環状有料道路に転換したことが推測される。
②狭山日高ICの交通割合の変化
【結果】狭山日高ICを通行する車両のうち、狭山大橋経由の流入が10%増加
狭山日高ICから東京圏中央連絡自動車道(圏央道)八王子方面を利用する自動車のうち狭山大橋を経由する自動車台数の割合を調査した(図4赤点線の経路)。
狭山大橋経由で利用する自動車が6%から16%と10%増加していることがわかる。このことから、圏央道を利用する際の経路として狭山環状有料道路を選択するドライバーが増加したと推測される。
③国道16号の所要時間の変化
【結果】国道16号上奥富(中)交差点から入間IC入口付近の所要時間が約1分短縮
上記、①狭山環状有料道路・国道16号の交通割合の変化【結果1】の国道16号から狭山大橋方面に右折流入する車両が増加した結果、及び【結果2】の国道16号へ左折する車両が減少した結果を受け、国道16号通行の平均所要時間の変化を調査した。対象区間は、国道16号上奥富(中)交差点から入間IC付近までのおよそ7.7km区間(図5青色の経路)で、無料開放前後の所要時間を、7時~19時の日中12時間、7時~10時の朝時間帯、10時~13時の昼前帯、13時~16時の昼過ぎ帯、16時~19時の夕時間帯の5つの時間帯で比較している。
その結果全ての時間帯で減少傾向となり、特に7時~10時の朝時間帯では約2分も短縮している。このことから、狭山環状有料道路の無料開放による転換が国道16号の移動時間の短縮に寄与していることが推測される。