山形県西川町(町長:菅野大志、以下西川町)と、独自のMaaS(Mobility as a Service)システムを開発・提案している博報堂は3月4日、西川町大井沢地区で共助型の乗り合い公共交通サービス「ノッカルにしかわ」の運行を開始した。
ちなみに同事業は、デジタル田園都市国家構想Type1(デジデンType1)の採択を受けたもので、博報堂が独自開発した「ノッカル」システムの運用として山形県内では初導入の事例となった。
この「デジタル田園都市国家構想」とは、デジタル技術を活用して誰もがデジタル化のメリットを享受できる社会を実現するための政策を指す。
内閣府「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ TYPE1/2/3等 制度概要」
岸田内閣の看板政策の1つに位置づけられ、行政窓口のオンライン化や農業や物流の自動化、公共交通サービスでの自動運転の導入などを推進するもの。構想としては、来たる2027年度までにデジタルサービスの実装に取り組む自治体を1500まで増やすことを目標の1つとして掲げている。
今回、このデジテンに則ったMaaS実装の舞台となった西川町は、人口約5,000人の地域で、そのうち高齢者のみの世帯が約1/3を占めている。これまで、高齢者を筆頭に地域住民の移動は、町営の路線バスやデマンド型乗り合いタクシーなどの一般的な公共交通が支えてきた。
しかし高齢化に伴う運転免許返納者の増加が予想され、人口減少による公共交通の運行本数や路線減少が続く中で、西川町では高齢者の移動ニーズへの対応が課題となってきた。
そこで西川町が運⾏主体の公共交通サービスとして、大井沢地区の住民がドライバーとなり、移動ニーズのある同地区内の住民が利⽤する⽀え合うシステムとして博報堂DYグループが「ノッカル」を提案した。
そんな「ノッカル」の具体的なシステムは、西川町・大井沢地区内の一般ドライバーとユーザーを「ノッカル」のシステム上でマッチング。ドライバーが自分の車(自家用車)で地区内ユーザーを目的地まで送迎する。
この際、博報が開発したシステムを活用することで、ドライバーと利用ユーザーを取り持つオペレーション負担を軽減。ドライバーハ助け合いの精神を以て地域の住民の移動をサポートすることで、地域内移動の利便性と効率化の高めていくというもの。
「ノッカルにしかわ」のサービス概要は以下の通り
先の通りで、「ノッカルにしかわ」は、地域内の施設と自宅を行き来したい乗客が、住民が運転する車に「乗っかる」仕組みで、助け合いによる完全予約型の乗合交通。
ドライバーは助け合いの精神のもと、⾃分の予定に合わせ、地区内の利⽤者を⾞に乗せ、⽬的地まで送迎します。利用者は、前日までに電話で予約をし、ドライバーの車で目的地まで移動する。
・運行エリア:大井沢地区内
・利用方法:会員登録制
・予約方法:前日17時まで電話予約
・乗車方法:乗車予定時刻の5分前までに指定場所で車両を待つ
・利⽤料⾦:無料
各者の役割
・西川町:運⾏主体、ドライバー及び利⽤者の募集及び管理
・西川町総合開発株式会社:ノッカルにしかわの予約受付・運行管理
・博報堂:サービス設計、コミュニケーションデザイン設計
・博報堂テクノロジーズ:システム開発・設計・運用