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2024年3月4日【MaaS】

共助型乗り合い公共交通、山形県西川町で運行開始

坂上 賢治

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山形県西川町(町長:菅野大志、以下西川町)と、独自のMaaS(Mobility as a Service)システムを開発・提案している博報堂は3月4日、西川町大井沢地区で共助型の乗り合い公共交通サービス「ノッカルにしかわ」の運行を開始した。

 

ちなみに同事業は、デジタル田園都市国家構想Type1(デジデンType1)の採択を受けたもので、博報堂が独自開発した「ノッカル」システムの運用として山形県内では初導入の事例となった。

 

この「デジタル田園都市国家構想」とは、デジタル技術を活用して誰もがデジタル化のメリットを享受できる社会を実現するための政策を指す。

 

内閣府「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ TYPE1/2/3等 制度概要」

 

岸田内閣の看板政策の1つに位置づけられ、行政窓口のオンライン化や農業や物流の自動化、公共交通サービスでの自動運転の導入などを推進するもの。構想としては、来たる2027年度までにデジタルサービスの実装に取り組む自治体を1500まで増やすことを目標の1つとして掲げている。

 

今回、このデジテンに則ったMaaS実装の舞台となった西川町は、人口約5,000人の地域で、そのうち高齢者のみの世帯が約1/3を占めている。これまで、高齢者を筆頭に地域住民の移動は、町営の路線バスやデマンド型乗り合いタクシーなどの一般的な公共交通が支えてきた。

 

しかし高齢化に伴う運転免許返納者の増加が予想され、人口減少による公共交通の運行本数や路線減少が続く中で、西川町では高齢者の移動ニーズへの対応が課題となってきた。

 

そこで西川町が運⾏主体の公共交通サービスとして、大井沢地区の住民がドライバーとなり、移動ニーズのある同地区内の住民が利⽤する⽀え合うシステムとして博報堂DYグループが「ノッカル」を提案した。

 

そんな「ノッカル」の具体的なシステムは、西川町・大井沢地区内の一般ドライバーとユーザーを「ノッカル」のシステム上でマッチング。ドライバーが自分の車(自家用車)で地区内ユーザーを目的地まで送迎する。

 

この際、博報が開発したシステムを活用することで、ドライバーと利用ユーザーを取り持つオペレーション負担を軽減。ドライバーハ助け合いの精神を以て地域の住民の移動をサポートすることで、地域内移動の利便性と効率化の高めていくというもの。

 

「ノッカルにしかわ」のサービス概要は以下の通り

 

先の通りで、「ノッカルにしかわ」は、地域内の施設と自宅を行き来したい乗客が、住民が運転する車に「乗っかる」仕組みで、助け合いによる完全予約型の乗合交通。

 

ドライバーは助け合いの精神のもと、⾃分の予定に合わせ、地区内の利⽤者を⾞に乗せ、⽬的地まで送迎します。利用者は、前日までに電話で予約をし、ドライバーの車で目的地まで移動する。

 

・運行エリア:大井沢地区内
・利用方法:会員登録制
・予約方法:前日17時まで電話予約
・乗車方法:乗車予定時刻の5分前までに指定場所で車両を待つ
・利⽤料⾦:無料

 

各者の役割
・西川町:運⾏主体、ドライバー及び利⽤者の募集及び管理
・西川町総合開発株式会社:ノッカルにしかわの予約受付・運行管理
・博報堂:サービス設計、コミュニケーションデザイン設計
・博報堂テクノロジーズ:システム開発・設計・運用

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。