NEXT MOBILITY

MENU

2024年4月18日【ESG】

無印良品、 移動型インフラゼロハウスの実証参加者を募集

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

実証実験参加者の意見を反映して2025年に実用化へ

 

無印良品の家を事業化するMUJI HOUSEは、昨年3月に始動させた〝ゼロ・プロジェクト〟に係るプロトタイプハウスを完成させた。そこで今年5月から、このプロトタイプハウスの試泊者を募集する。同社では、この〝ゼロ・プロジェクト〟に係るプロトタイプハウスの実証参加者の意見を反映した上で、来たる2025年の実用化(販売)を目指したい考えだ。

 

ちなみに〝ゼロ・プロジェクト〟とは、エネルギーや生活水などを既存のライフラインに依存しないモバイルユニットを完成させた上で、移設できるようにして、インフラの整わない場所でも自由自在に暮らすことのできる移動式住宅の実証実験を重ねてきたもの。

 

今回のインフラゼロハウスへの試泊実証の概要は以下の通り

 

  • 目的:実際に当該ハウスに生活して貰うことによって課題や要望を収集。2025年の実用化に向けて実用化の精度を高める目的がある。

 

  • 概要:試泊者を特設サイトで募集。選考後、1泊~3泊程度実際に試泊して貰い、住み心地や仕様・設備に関する課題・要望についてのレポートを収集する。

 

  • 期間:3つの期間を設けて募集。※応募者多数の場合は選考して選定

 

  • 第一ターム
    試泊日:5月 3日 – 5月27日の週末(申込日:4月18日 – 4月24日)

 

  • 第二ターム
    試泊日:7月12日 – 8月5日の週末(申込日:5月31日 – 6月23日)

 

  • 第三ターム
    試泊日:9月13日 – 9月30日の週末 申込日:8月19日 – 9月1日

 

  • 場所:シラハマ校舎(千葉県南房総市白浜町滝口5185-1)

 

 

 

インフラゼロで暮らせる家のプロトタイプについて
無印良品は以下のゼロの実現に向けて、オフグリッドインフラで新しい暮らしを創造するINNFRAや、クリーンなエネルギーをつくる未来の屋根「Roof-1」を開発するモノクロームと連携し、プロトタイプの開発を進めてきた。

 

1.インフラ・ゼロ
エネルギーや水を自ら生成する仕組みをつくることで既存のインフラに頼らない家とする。

 

2.カーボン・ゼロ
太陽光発電や廃棄物発電などの再生可能エネルギーを活用することで、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする。

 

3.リビングコスト・ゼロ
取得したエネルギーの効率的な利用、廃棄・排泄物の処理コストをかけないことにより、生活に必要なエネルギーコストを実質ゼロにする。

 

4.災害リスクゼロ
生活インフラの自給自足とどこにでも移動ができる機能を備えることで、自然災害のリスクを回避するための「(1)ユーティリティ棟」と、「(2)リビング棟」2つのユニットを組み合わせた、車で運べるモバイルハウスとなっている。

 

なおプロトタイプは、公道を走行できる安全性を備えており、かつ道路運送車両法で定められている車両(自動車)となるもの。そのため、自由な場所に牽引することが可能。また土地側のライフラインと接続しないため、建築基準法の適用を受けなくてもよい仕様となる。

 

 

(1)ユーティリティ棟:
蓄電池や水循環システム、キッチン、シャワーなどを設けたユニットとなる。

 

壁&屋根一体型太陽光パネル
プロトタイプは南側壁面全体を使用し、壁と屋根一体型により、太陽の位置が低い朝方でも十分に発電ができることが実証されている。2人暮らしの場合、最大で約3日分の電力を蓄電することが可能となり、蓄電容量は、スマートフォンなどで確認することができる。

 

 

水循環システム
生活雑排水を浄化・循環利用する独自システムを採用し、2人暮らしで1日あたりに必要な水量約200リットル分のタンクを備えており、使用した排水は浄化され再利用が可能。

 

温水シャワー
水循環システムで浄化した水を再利用。電気ヒートポンプ式給湯器エコキュートを標準装備し、太陽光パネルで発電した電力を使用しお湯を利用することができる。

 

 

キッチン
太陽光パネルで発電した電力を使用し、IHクッキングヒーターの他、電子レンジやケトルも使える。またシンクを備え付けており、水循環システムで浄化した水を使用することができる。排水した水は再び水循環システムで浄化され、再利用することができる。

 

衛星通信によるWiFi環境
屋根に固定設置したアンテナで電波を送受信。安定的なWi-Fi環境でいつでもどこでもインターネット環境が利用できる。

 

 

・リビング棟:
リビングスペース、バイオトイレなどを備えた生活のためのユニットとなる。

 

快適な室内
リビング棟の室内は約12.15m2(3.68坪)で2人でも快適に過ごせるスペース。無印良品の脚付きマットレスなら2台並べることができる。また、屋根一体型の太陽光パネルと蓄電池を搭載しており、エアコンや照明などの家電を自由に使うことができる。

 

 

高断熱・高気密仕様
「無印良品の家」の断熱の基本的な考え方をプロトタイプでも採用した。気密性を高め、建物の外を高性能な断熱材で包み込むことで室内の隅々まで同じ快適温度に保つことが可能となっている。

 

 

バイオトイレ
水を使わず、大鋸屑(おがくず)ベースの微生物によって処理するバイオトイレを採用。電気制御により分解性能と消臭性を高め、排泄物や生ごみ、トイレットペーパーも分解可能。1日に約20回程度使用することができ、2人暮らしでは問題なく生活することができる。

 

 

以下はインフラゼロハウスの参考情報となる。

 

「インフラゼロでも暮らせる家」ティザーサイト
URL:https://www.muji.net/ie/infrazerohouse/

 

「ゼロ・プロジェクト」開発記 ゼロ・プロジェクトの進捗状況についてコラムを随時更新。
URL:https://house.muji.com/life/clmn/zero

 

「インフラゼロでも暮らせる家」Youtube商品開発責任者がプロトタイプについて解説した動画。
URL:https://youtu.be/J4omv9G6vo4

 

 

「ゼロ・プロジェクト」これまでと今後のスケジュール
2023年3月:プロトタイプの開発開始
2023年11月:実験スタート
2024年4月:実証実験参加者募集
2024年9月:実証実験終了/実用化に向けて検証
2025年以降:実用化へ
※スケジュールは変更となる場合がある。

 

株式会社MUJI HOUSE会社概要
社名:株式会社 MUJI HOUSE 代表取締役社長 堂前 宣夫
所在地:〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目5番1号
電話:03-6699-7400
設立:2000年5月31日
資本金:1億4,900万円(2021年5月1日現在)
事業内容:無印良品の家を中心とした住空間の事業の運営/商品企画/開発/卸しおよび販売

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。