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2024年7月4日【IoT】

モーションリブ、遠隔地の人と触れ合える技術を開発

坂上 賢治

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リラックスシートを使った実証実験の様子

 

横浜市と豊田市を結ぶ5Gネットワークで力触覚伝送の実証実験に成功

 

慶應義塾大学発ベンチャーのモーションリブは7月4日、リアルハプティクス®とクラウド技術などを活用した感触・動作クラウドプラットフォームをトヨタ紡織と共同開発した。このプラットフォームを用いクラウド上に展開された力触覚情報にインターネット回線からアクセスすることで、場所を問わず触覚の伝送・データ化・編集などが可能となった。

 

 

つまり、この技術が開発されたことにより遠く離れた家族や友人とも触れ合えることができ、孤独感やストレスを軽減し、心の健康をサポートする効果が期待されるようになった。

 

また、地理的な距離が障壁にならないことで、高齢者や障害を持つ人々など移動が困難な方にとっても大きな利益をもたらす可能性があり、個人だけでなく社会全体のウェルビーイングに貢献できることが見えてきている。従ってをモーションリブとトヨタ紡織は、同技術の更なる高度化を目指していきたい考えだ。

 

今回、より具体的な実証内容で両社は、今回開発したプラットフォームをトヨタ紡織が持つリラックスシート「Remote Touch Therapy(リモートタッチセラピー)」に搭載。

 

横浜市と豊田市間での5Gネットワークを介して、力触覚伝送とそのコンテンツ化を行う実証実験を行った。その結果、リアルタイムかつ高精細な力触覚伝送に成功し、離れた場所にいる人同士があたかも同じ空間にいるかのような感覚を共有できることを確認した。

 

その際の実証では、横浜市内の拠点から豊田市内の拠点にいる対象者に「優しく肩をさする」などのタッチセラピーを行い、肩の感触などを感じながら、セラピー体験を実現できることを確認したもの。

 

また、それらの動作はプラットフォームを通じてデータ化し、データ化された力触覚コンテンツは操作者がいなくても再現可能であることを実証することもできている。

 

従来では、リアルハプティクスによる高品質な力触覚伝送には、特殊な環境構築を必要としていた。しかし今回両社は、リアルハプティクスとクラウド技術やリアルタイム通信技術を組み合わせることで感触・動作クラウドプラットフォームを共同開発し、離れた場所にいる人同士が力触覚を通じて相互に働きかけ、そこで得られた力触覚情報をデータ化し、コンテンツ化することを可能にした。

 

IoAプラットフォームのビジョン

 

そんなモーションリブが開発したリアルハプティクスの実装を簡便にする力触覚制御ICチップには以下の特徴がある。

 

(1). 力加減の制御:リアルハプティクスをモジュール化し、リアルタイムな力加減の計測と制御を実現。

 

(2). 力触覚を伝送:力加減をデータ化して、遠隔地に伝送。双方向に力触覚を伝え合うことを簡単に実現。

 

(3). 力センサレス:独自の力推定アルゴリズムにより力センサの設置が不要。(力センサの使用も可能)

 

(4). 高い汎用性:市販のアクチュエータ・機器を使用して力の制御が可能。既存システムへの組込みも容易。

 

 

結果、同プラットフォームを用いることで、クラウド上に展開された力触覚情報にインターネット回線からアクセスすることが可能となり、どこからでも力触覚の伝送・データ化・編集などが可能となる。例えば、製造業などに於いて熟練技術が必要な作業の自動化を行う際の基盤として活用することができるという。

 

 

今後、モーションリブは今実証で得られたデータを活用した仮想空間でのシミュレーションやAIによる動作生成などを引き続き開発。リアルハプティクスと仮想化技術を組み合わせ、様々なロボットが、インターネットやコンピュータリソースを通じて行為(Action)を蓄積し、多種多様なニーズに対応することができるコンテンツ生成「IoA(Internet of Actions)プラットフォーム」の実現を目指す。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。