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2019年3月28日【オピニオン】

ソフトバンクとトヨタのMONETサミットに600団体が集結

松下次男

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豊田社長がサプライズゲストとして登場。新たにホンダ、日野もモネと資本・業務提携

 

 トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社であるモネ・テクノロジーズ(MONET Technologies、本社・東京都港区、宮川潤一社長兼CEO)は3月28日、全国の自治体や企業向けに、モネの今後の事業展開や新たな取り組みを紹介するイベン「MONETサミット」を東京都内のホテルで開催した。
イベントでは、冒頭にトヨタ自動車の豊田章男社長がサプライズゲストとして来場、予期せぬ登場シーンに会場から拍手喝さいが起こった。

 

 

 モネは近未来のMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)事業展開に向け、様々なサービスを提供するプラットフォーマーを目指して設立した会社だ。すでに一部の自治体と連携して、サービスのトライアルを始めているが、同日、新たにホンダ、日野自動車がモネと資本・業務提携し、同事業展開に参画すると発表した。

 

 ホンダと日野はモネにそれぞれ10%弱出資、様々なMaaSの活動に車両を提供するとともに、相互に情報を共有する。サプライズゲストとして登場した豊田社長もホンダ、日野の参画に期待感を示した。

 

 

 また、モネはモビリティイノベーションの実現に向けた「なかまづくり」の一環として「MONETコンソーシアム」を同日設立したと発表した。
同コンソーシアムは業種の垣根を越えて参加企業を募り、自動運転時代を見据えたMaaS事業開発を行うことで、次世代モビリティの推進や移動における社会課題の解決、新たな価値創造を目指す。すでにコカ・コーラ、サントリー、JR東日本、フィリップス・ジャパン、三菱地所、ヤフーなど88社が参加した。

 

 

 開催されたMONETサミットには280の自治体、320社あわせて約600企業・団体が参加。モネが目指す未来のモビリティサービスに熱い視線を送っていた。

 

企業間の連携を推進する「MONETコンソーシアム」を設立。88社が参加

 

 サミットで最初に登壇したソフトバンクの副社長でもある宮川社長は活動を始めたモネの事業展開について着実に広がりを見せていることを明らかにした。
とくに自治体との連携、取り組みでは先に発表した17自治体での実証実験に加え、現在、約150自治体と新たなモビリティサービスに関する要望、課題について意見を交わし、それぞれの自治体にSE(システム・エンジニア)を派遣して、どのようなサービスが展開できるかを探っているところだと述べた。地方都市では、高齢化に伴う移動困難者の増加、都市部では渋滞などが課題となっている。

 

 

 当初、モネは3年間で100自治体との連携を見込んでいた。それだけに、同日のサミット参加自治体の数や予想を超える交流自治体の反響の大きさに驚いており、「予算を組み、対応拡大の検討を始めた」ことを示した。

 

 モネが目指すモビリティサービスについては、まずは既存モビリティの高度化、効率化からスタートし、次のステップとして新たなライフスタイルの創出、サービス間の連携などのマルチサービスへ、そして最終的にインフラの連携など社会全体の最適化を図ることという。

 

 

 このため、提供する車両についても、当面は既存のガソリン車やトラックを使ってサービスを展開し、今後のサービス活動に役立つデータを収集する。現在、170以上の車両がモネのプラットフォームとつながっている。
こうして共有できたデータをベースに、4年後の2023年以降に、トヨタが2018年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」で構想を発表した自動運転車「イーパレット(e-Palette)」を使った新たなモビリティサービスに乗り出す考えだ。ホンダの自動運転車などを使うことも想定する。

 

 

 このため宮川社長は今は「自動運転車導入の基礎を築く時期」と表明。これからの1年間は、オンデマンドバスやサービスカーの実証実験を実施し、データ収集する重要性を示した。新たなモビリティサービス実用化向けては規制をはじめクリアーすべき要件、さらに、気象や交通環境など日本特有の現象を把握する必要がある。
これらのデータを持つことで、GAFAと呼ばれる米IT系巨大企業が入ってきても負けないプラットフォーマになる一方で、日本で構築できたモビリティサービスをベースに「いずれはグローバル展開したい」と述べた。

 

 ホンダ、日野に続く日本の他のOEM(自動車メーカー)についても、積極的に「参加してほしい」とし、必ずしも資本提携は求めないとした。
 モネの運営については、基本的にソフトバンクとトヨタ自動車が今後も「主体になる」とし、新たな参加企業の出資比率を10%未満に抑えている。ただし、人材については受け入れの可能性を示した。( 佃モビリティ総研・松下 次男 )

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。