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2024年2月9日【社会インフラ】

国交省、地域の有償運送制度に係るパブリックコメントを募る

坂上 賢治

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実施期間は、令和6年2月9日(金)17:00から30日間

 

国土交通省は2月9日、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること(自家用車活用事業)を可能とする制度を創設する予定を踏まえ、この新制度案に係るパブリックコメントを実施する。( 坂上 賢治 )

 

これは、昨年12月に決定された「デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ」に於いて、〝タクシー事業者が運送主体〟となって、地域の自家用車・ドライバーを活用。タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)が決定されたことによるもの。

 

これを踏まえ国土交通省は、同省が〝日本版ライドシェア〟と銘打つ制度概要案を交通政策審議会(国交相の諮問機関)自動車部会へ示している。

 

その建て付けは、先の決定内容に沿ってタクシー事業者が一般ドライバーや自家用車を活用して行う有償運送(仮称:自家用車活用事業)となっている。これを前提に当該のタクシー事業者が、事故防止などの管理運営体制を整えることを許可基準とする格好だ。

 

より具体的には、先の〝日本版ライドシェア〟が運行可能な地域を、タクシー車両が不足している「交通空白地」とする。また交通空白地の基準となる「地域」や「時期」、「時間帯」に関しては、〝民間企業の配車アプリ〟の運行データなどを活用して国土交通省が定める。

 

なお運行車両に自家用車を使う場合は、当該の事業用車両であることを外部に表示するか、未稼働のタクシー車両を使う。ドライバーは、タクシー事業者発行の「運転者証明」の携行が必要。自動車保険は、タクシー事業用と同等の任意保険が必要。更に運用台数は、対象地域に配備するタクシー車両の範囲内に制限する。

 

先の通り〝民間企業の配車アプリ〟を使った運行となるから、受付時に利用者の発着地が確定していることが原則。運賃の支払いはキャッシュレス。従って「流し」や「付け待ち」営業は認められない。

 

同案はあくまでも〝叩き台〟、では一般ドライバーによる有償サービスは

 

つまり公共交通量の充足を果たすためなど、やむを得ない地域だけを対象に、自家用車を活用した「ライドヘリング(ライドヘリングとは、大枠ではオンラインプラットフォームを介して乗客が車両を呼び出すことができるサービスそのものを指す)」の可能性を、まずはタクシー事業者と共に模索することになるという。

 

ちなみに以下は余談であるが、上記の「ライドヘリング/ride hailing」と、ここのところよくニュースなどで話題に挙がっている「ライドシェア/ride share(乗り物を他人と共有するという意味)」は、厳密な見方をすると意味合いの違いがあり、他人との相乗りを許容するライドシェアと違って、ライドヘリングの場合、他の利用希望者と相乗りしないとされる。

 

しかし現段階で、多くの諸外国に於いてライドシェアの利用者も他人と相乗りすることがないため、実際にはライドヘイリングもライドシェアも同じ意味として受け取られているケースも多い。

 

さて国土交通省では、「今後、タクシーが不足する地域・時期・時間帯に於けるタクシー不足状態を、道路運送法第78条第3号の〝公共の福祉のためやむを得ない場合〟であるとして、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること(自家用車活用事業)を可能とする許可を行っていく予定です。

 

その許可に当たっての基準や取扱いについて、〝法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い〟として定めることを検討しており、今般、パブリックコメントを開始いたします。

 

なお、今般示す制度案はあくまでもたたき台であり、広く国民の皆さまの意見・情報を募集したうえで、その内容を決定する予定です」と話している。

 

パブリックコメントの実施期間等は以下の通り

 

1.実施期間:令和6年2月9日(金)17:00~(30日間)
2.内  容:(1)制度概要:許可基準、許可に付する条件、許可期間
       (2)今後のスケジュール(予定):令和6年3月公布・施行
3.掲載URL:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155240909&Mode=0

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。