NEXT MOBILITY

MENU

2023年12月7日【交通網】

国交省、全国初となる道路運送高度化実施計画を認定

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

国土交通省は12月7日、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号/以下、地域交通法)に基づく「道路運送高度化実施計画」について、令和5年11月30日付けで、右記2件(茨城交通株式会社/伊予鉄グループ)の認定を行った。

 

地域交通法に係る認定の背景は以下の通り。

 

●政府は、地域交通法に基づく道路運送高度化事業は、地域公共交通の「リ・デザイン」(再構築)を推進するため、令和5年7月1日に施行された改正地域交通法により、バス事業者等が、AIオンデマンドやキャッシュレス決済等の技術、EVバスの導入を通じて、定時性、速達性及び快適性の確保等の運送サービスの質の向上を図るために行う事業として、その内容を拡充した。

 

●地域交通法に基づく道路運送高度化事業を実施しようとする者は、道路運送高度化実施計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることで、下記のような支援を受けられる可能性がある。

・本年新たに「地域公共交通再構築事業」が基幹事業として創設された社会資本整備総合交付金
・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の出融資
・一般乗合旅客自動車運送事業者に係る固定資産税の特例措置
・道路運送法(昭和26年法律第183号)の特例(事業許可等のみなし取得)

 

なお、これは全国初となる、地域交通法に基づく道路運送高度化実施計画の認定案件となる。採択した「茨城交通株式会社」の計画は以下の通り。

 

 

当該の茨城交通による「道路運送高度化実施計画」の取組概要は以下の通り
キャッシュレス決済の導入・拡充

  • – 現行 IC カードシステムにキャッシュレス決済システム
    (クレジットカードタッチ決済、QR コード決済)を導入 水戸・日立エリアのシステムを統合し、IC カードを「いばっピ」に統一

 

定期券等の利用者 Web 決済サービスの導入・拡充

  • – 定期券の新規申込・継続購入、IC カードのオートチャージ 登録等について、利用者 Web 決済サービスを導入

 

 

事業の効果:運賃支払時間の短縮、窓口の混雑緩和による運送申込時間の短縮
計画実施時期:令和5年12月(予定)
対象区域:茨城県(水戸市、日立市、常陸太田市、高萩市、笠間市、ひたちなか市、 常陸大宮市、那珂市、茨城町、大洗町、城里町、東海村、大子町、北茨城市)
総事業費:760百万円

 

———————————————

 

同じく地域交通法に基づく道路運送高度化実施計画の認定案件となった2件目の「伊予鉄グループ」の計画は以下の通り。

 

伊予鉄グループによる「道路運送高度化実施計画」の概要

 

 

(1)EVバスの継続導入

2023 年度から 2027 年度の5カ年度にわたり、毎年 10 両ずつ、快適で低騒音、低振動、低環境負荷である EVバスを継続導入。

 

1−2:導入規模
EVバス 10両/年(今後5年間で計50両導入予定)EVモーターズ・ジャパン製

 

2−2:導入箇所
6路線(川内線、空港リムジンバス等) 3営業所(松山室町営業所等)
※充電施設はバスターミナルにも設置の予定

 

2−3:税制特例減税見込額(R5年度)
償却資産:261千円 /土地:73千円(計334千円)

 

 

(2)みきゃんアプリの導入 決済

・情報プラットフォーム「みきゃんアプリ」を活用し、マイナンバーカードとの連携も通じ、 公共交通利用者に対する経済的メリットの提供及び利便性向上を図る。

 

2−1:キャッシュレス決済の導入
デジタルチケット、MPM方式(QR コード決済)等の導入

 

2−2:マイナンバーカードと連携した運賃割引
居住地や年齢に応じた運賃割引の実施

 

2−3:デジタルクーポンを利用した運賃割引
観光施設等と連携したデジタルクーポンによる運賃割引の実施

 

 

国土交通省では、「多くの地域で地域公共交通の〝リ・デザイン〟が進むよう、新たな枠組みを最大限活用し、地域における取組を引き続き強力に支援してまいります」と話している。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。