HIF USA訪問時の写真(前列左から2番目が商船三井カーボンソリューション事業開発ユニット長 藤橋大輔氏、前列右から4番目が HIF Global Executive Director of the Board Ms. Meg Gentle氏、前列右から3番目がHIF USA Chief Executive Officer Mr. Renato Pereira氏)
商船三井傘下のMOL Clean Energy, US, LLCは9月20日、北米・南米・豪州で合成燃料/合成メタノールの開発・生産・輸送プロジェクトを開発するHIF Global LLC(HIF Global社/CEO:Cesar Norton、本社: 米国デラウェア州)に出資した。
上記HIF Global社とは、再生可能エネルギーと水素を組み合わせ、現段階では輸送・利用可能なカーボンニュートラル液体燃料を生産する世界有数の企業となる。
ちなみにHIFという社名は「地球の脱炭素化を可能にするHighly Innovative Fuelsを提供する」という企業理念を表すもので、HIF LATAM、HIF USA、HIF ASIA PACIFIC、HIF EMEAなどのグローバル事業を展開している。
合成燃料事業に於いては先の2022年12月、チリのマガジャネス州にあるHaru Oni実証プラントから初めての合成燃料の生産を成功させ、今後は、米国テキサス州のマタゴーダチリの マガジャネス、ウルグアイのパイサンドゥー、並びに豪州のタスマニアでも商業規模のプラント建設を計画している。
さて今プロジェクトでは、米国・チリ・ウルグアイ・豪州の4ヶ国で再生可能エネルギー由来のグリーン水素とCO2を原料とした合成燃料(e-fuel)/ 合成メタノール(e-methanol)を年間約400万トンを生産することを計画している。
今後の協業イメージ
また将来的には合成SAF(Sustainable Aviation Fuel 持続可能な航空燃料)や合成ガソリンなどの合成燃料や、合成化学品を製造することも見据えている。
なおこれら合成燃料・合成メタノールは、製造から製品を利用するまでのライフサイクル全体の低炭素化に大きく寄与することから早期実用化が望まれていること。なかでも特に合成メタノールは、海運業界の脱炭素化に貢献する船舶燃料の一つとしても期待している。
合成燃料/合成メタノールのサプライチェーンイメージ
そうした背景から商船三井は今年3月に、出光興産、HIF Global社傘下のHIF USA LLCおよびHIF Asia Pacific Pty LimitedらとCO2の海上輸送を含む合成燃料/合成メタノールのサプライチェーン共同開発することに合意・覚書(MOU)を締結。
今回のHIF Global社への出資参画によって合成燃料/合成メタノールおよびCO2のサプライチェーン構築を推し進めることで、エネルギー・輸送業界の脱炭素化をリードしていきたい考えだ。
HIF Global社の概要は以下の通り
社名:HIF Global LLC
本社:1209 Orange Street, City of Wilmington, County of New Castle, Delaware 19801
代表:Cesar Norton, President & CEO
HP:https://hifglobal.com/
以下参考
JOGMEC、合成燃料開発に取り組む米・HIFへ出資(24年8月・弊誌記事リンク)
JFE含4社、e-fuelのサプライチェーン構築で覚書(24年4月・弊誌記事リンク)
出光、HIF社と合成燃料分野で戦略的協業のMOU締結(23年4月・弊誌記事リンク)
ポルシェ、チリで内燃車向け合成燃料の生産へ(22年12月・弊誌記事リンク)