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2024年10月2日【MaaS】

三井&日鉄興和、東京板橋に地域と共生する大型物流拠点

坂上 賢治

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希少性の高い立地と最高峰の施設スペックで物流・地域社会の拠点に

 

三井不動産と日鉄興和不動産は10月2日、都内最大の物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」の開設し、竣工式を執り行ったことを明らかにした。

 

この「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」は、延床面積約77,400坪(25万m2超)と都内最大の物流施設。首都高速5号池袋線「中台IC」出入口から約2.7km、都営三田線「西台」駅から徒歩10分の位置にある。

 

 

そもそも同施設が立地している区画は、1935年から80年以上に亘り、日本製鉄の製鉄所として操業されてきた。その土地を2021年に日鉄興和不動産が取得。もはや都内に於いて土地確保が難しくなりつつある大規模物流施設開発プロジェクトを2社協業で推し進めてきた。

 

その敷地面積は約91,000m2、延床面積は約250,000m2超、ワンフロア約36,000m2、地上 6 階建ての大空間となっている。今プロジェクトでは地域自治体を巻き込み、街づくり型物流施設の旗艦物件として着手。

 

 

敷地内には、東京都内では認可申請自体が煩わしいドローン実証実験を自由に行えるよう都内初の物流施設併設型の「板橋ドローンフィールド(板橋DF)」も併設。ドローン業界全体の産業発展に寄与することも目指す。

 

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その施設概要は以下の通り

 

1.都心部への配送ニーズに対応する好立地
日鉄興和不動産は、2021 年日本製鉄株式会社の工場跡地を取得し、板橋区の地域の防災力向上に資するべく行政協議を重ねて物流施設の施設計画、事業推進を進めてきた。

 

当該施設は、公共交通環境にも恵まれる一方で、周辺5km圏内には約106万人が居住するエリアに位置。これは雇用確保においても有利となっている。

 

また最寄りの首都高速5号池袋線「中台」ICまでは約2.7kmと都心部への配送にも適している。更に都心部への配送のみならず、首都圏北部地域を網羅できる広域配送拠点となり、拠点集約による運送費の削減や配送リードタイムの短縮などにも寄与する。

 

 

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2.最高峰の施設スペックで機能性と快適性を両立
業界最高峰の施設スペックを通じて多様化する顧客ニーズに対応し、物流業界の課題解決に貢献。多機能かつ多様性に富んだ共用部の整備により就業環境向上を図り、労働力不足や雇用維持の課題解決にも貢献する。

 

(1)顧客ニーズを満たす最新鋭の設備と万全のBCP対策・セキュリティ対策
梁下有効天井高5.5m、床の積載荷重1.5t/m2を確保し広大なスペースを実現した汎用性の高い大型倉庫、国際基準(45ft コンテナ車両)の大型車両にも対応可能なトラックバース等最新鋭の設備を備え、東西2つのダブルランプウェイが配送効率を飛躍的に向上させた。

 

 

また免震装置、72時間対応の非常用発電機、備蓄倉庫等、万全のBCP対策を備えており、入退館管理、24時間常駐の防災センター等、オフィスビル同等のセキュリティ対策で安心・安全な物流施設となっている。

 

 

(2)多機能かつ多様性に富んだ共用部
豊かなコミュニケーションを図るための快適性と機能性を踏まえデザインした2か所のラウンジ、ドライバー休憩室に加え、有人コンビニ、ジェンダーレストイレ、礼拝室、WEB会議用ブース等、快適な空間・ワークプレイスも提供する。

 

 

(3)洗練された外装・内装デザイン

建物外装デザイン:JACKSON TEECE
建物デザインを手掛けたのはオーストラリアのデザイン事務所JACKSON TEECE。「White Waves」を外装デザインコンセプトに、空、さざ波等自然の有機的な流れを抽象化させ、地域と調和する洗練されたファサードデザインとしました。

建物内装デザイン:株式会社ボノボ
外装はスピーディーな物の流れと隣接する新河岸川の大らかな流れを表現。併せて日本製鉄の鋼管パイプをモチーフとし、歴史の継承もデザインコンセプトとした。

 

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3.太陽光発電設備から余剰電力を自治体施設へ供給
施設では、屋上全面に約19,000m2、約4MWの太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを自家発電によって創出することで、電力の地産地消を実現した。

 

更に太陽光の余剰電力をニーズに応じて板橋区内に於ける73の区立小中学校へ供給することで、区立小中学校のRE100化にも貢献する。併せて物流施設に設置された太陽光発電設備から、余剰電力を自治体施設へ供給(オフサイトPPA)する。

 

その他、屋内照明のLED化による省エネ等により、年間の一次エネルギー消費を実質的にゼロとする最高ランクの『ZEB認証』および、DBJ Green Building 認証最高位となる「5スター」を取得した。

 

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4.暮らしと防災の両面で地域に貢献する「フェーズフリー」な施設
様々なイベント開催が可能な広場や、季節毎の植栽の彩りを楽しめる広場など約25,000m2の緑地エリアを整備。生物多様性に配慮し、周辺地域の在来種を基本とした計573本の樹木・約50種類の植栽を用い、豊かな緑地空間を創出した。

 

また板橋区と共に、河川氾濫等の水害に強い安心・安全なまちを実現するため、国内で初めて、官民連携による高台まちづくりを実施。

 

 

より具体的には緊急着陸用のヘリポートとしても活用可能な高台広場と、隣接する板橋区立舟渡水辺公園を一体的に整備。

 

地域住民約1,000人を収容可能な緊急一時退避場所も整備。敷地内には、「板橋区災害時配送ステーション」を設置し、災害時に必要な飲料水や非常食等を保管。区内の避難所に支援物資を配送する。

 

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5.「板橋ドローンフィールド」を開設、新産業の発展に寄与
施設内に、東京都では初となる物流施設併設型のドローン実証実験施設「板橋ドローンフィールド」を開設。10月2日より「会員制のコミュニティ」の運営を開始した。

 

同施設では「実験・研究」「教育・人材育成」「連携・コラボレーション」の3つの活動を軸に、「場」と「コミュニティ」の提供を通じて、ドローン産業の発展を支援する。

 

 

施設監修・運営は、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と、ブルーイノベーションが担う。またスタートアップやアカデミア、公的機関等、様々な企業・団体との連携体制の構築を図り、開発技術の社会実装を支援。ドローン業界全体の産業発展に寄与するとともに、「物流の2024年問題」などによる労働力不足や、昨今の自然災害時への対策など、ドローンの技術を通じたさまざまな社会課題の解決への貢献を目指す。

 

併せてスタートアップやアカデミア、公的機関等、様々な企業・団体との連携体制を通じ、東京都23区内におけるドローンの「実験・研究 ②教育・人材育成」「連携・コラボレーション」の拠点となることを目指す。

 

 

これらにより「物流の2024年問題」などの労働力不足の課題解決はもちろん、インフラの維持・管理負担の増加、自然災害時の対応負荷増加など、さまざまな社会課題の解決に向けたドローンの利活用について、「板橋DF」で開発された新しい技術の社会実装を支援し、ドローン業界全体の産業発展に寄与していく。

 

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ドローン飛行用ネットフィールド(約650㎡)
5面ネットになっており、飛行申請不要で飛行可能、国家資格の講習試験に対応した高さ約14mのドローン用ネットフィールド。「KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校」をはじめとしたドローンスクール開催のほか、ドローン操縦時以外はフットサルコートとして地域利用にも資する設計となっている。

実稼働の物流施設を活用
ドローン活用により省人化、効率化が期待される太陽光パネル、外壁、橋梁、狭小空間などの点検およびバルコニーを用いたドローン配送等についての実験を実稼働の物流施設を活用して実施可能。

ドローンポート
ドローンの離発着場。太陽光パネル点検や災害時物資配送の際などに活用できるポートを屋上に2ヶ所設置。また、敷地内の駐車場では利用者が持参したドローンポートを設置し、実験することも可能。

ドローンラウンジ(約190㎡)
ドローン事業者の交流・共創の場。大型モニター付きのミーティングスペースも完備し、商談やセミナー、ネットワーキングイベントなどでの利用も可能。

 

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<参考>板橋DFで実施する実証実験例

 

高性能ドローンポートの開発
インフラ点検や緊急物資輸送の現場でのニーズが高まっている、より長時間・長距離飛行での運用や、全自動での運用に資する、汎用性、拡張性のあるドローンの離発着場(ドローンポート)の研究開発を行う。※当該事業は、経産省 中小企業イノベーション創出推進事業に採択済。

 

 

非GPS環境下での安定飛行
非GPS・屋内環境下に於けるドローンの自己位置推定法、安定飛行制御手法を研究。インフラ点検等での活用とともに、人・物と共存するドローンの実現を目指す。※東京大学と三井不動産の産学共創協定に基づく「三井不動産東大ラボ」での共同研究。

 

ドローンの垂直配送の検証
宅配サービス利用数が飛躍的に増加しており、高層マンションや高層ビルに於ける将来的なエレベーター混雑懸念がある中で、建物内におけるドローン配送活用の実現性を検証す。※東京大学と三井不動産の産学共創協定に基づく「三井不動産東大ラボ」での共同研究。

 

なおドローンネットフィールドでは、空き時間をフットサルコートとして地域へ開放することで、交流・憩いの場を提供する。直近では10月26日(土)に地域との交流イベントとして物流体験コンテンツ・ドローン実演などを通じて物流の仕事や未来を楽しみながら知ってもらうことができる「MFLP・LOGIFRONT東京板橋MIRAI FES」を開催予定としている。

 

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施設概要
名称: MFLP・LOGIFRONT東京板橋
所在地: 東京都板橋区舟渡4-3-1
敷地面積: 91,255.58m2(約27,604.81坪)
延床面積: 256,157.63m2(約77,487.68坪)
規模・構造: 地上6階建・S造(倉庫)・免震構造
設計: 日鉄エンジニアリング株式会社
施工: 日鉄エンジニアリング・佐藤工業共同企業体
監修: 株式会社フクダ・アンド・パートナーズ
デザイン 外装:JACKSON TEECE / 内装:株式会社ボノボ
着工: 2023年2月1日
竣工: 2024年9月30日

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。