愛知県と公益財団法人科学技術交流財団では7月29日、大学等の研究シーズを活用したオープンイノベーションにより、県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新たなサービスの提供を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期」を2019年度から実施していることを公表した。
3つのプロジェクトのうち「近未来自動車技術開発プロジェクト」の「航空機電動化に向けた高電力密度インバータ設計手法の確立と実証」では、名古屋大学、サイバネットシステム、ナチュラニクスの研究チームが、電動航空機用小型・高電力密度GaNインバータを開発している。
今回、その技術を活用し、EV充電用を目途に、従来製品より高効率・小型・軽量等の特徴を持つGaNインバータ搭載蓄電池を開発したと、7月29日発表した。
GaN(窒化ガリウム)は、現在主流のSi(シリコン)に比べ電力損失を大幅に低減できるため、次世代半導体材料として注目されている材料。このプロジェクトで開発したGaNインバータ高速スイッチング技術を活用することで、インバータの高効率、小型・軽量化、高速充電を実現した。
また、開発品はコンセントからの入力1500Wと蓄電池内のバッテリーを合わせた3000Wの出力を持ち、電気自動車(EV)を2台同時に充電することが可能。
従来、EVの充電を行う専用充電ステーションの設置には、配電工事が必要だった。小型・軽量化した本開発品を用いることで、一般家庭用コンセント一つからEVを2台同時に充電させることが可能となる。EV充電ステーションの専用電気工事が不要になり、EVの普及に大きく貢献することが期待できる。また、従来型の蓄電池に比べ発熱等による電力ロスが少なく、高効率で充電が可能となる。
今後、ナチュラニクスが製品化し、2022年度中の販売を目指すとしている。