三菱重工業は12月2日、シンガポール最大の電力会社であるセノコ・エナジー社が運営する、M701F形ガスタービン2基からなるガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所のアップグレード工事を完了したと発表した。
今回のアップグレード工事は、三菱商事とのコンソーシアムにおいて締結した長期保守契約(LTSA:Long Term Service Agreement)の一環として行われたもの。最新のガスタービン技術を適用し、冷却空気量を削減して熱効率を向上させることで、年間約1万5,000トンのCO2排出量の削減が可能となった。これは自動車の稼働平均換算で、年間4,500台以上の削減に相当する。
また、このアップグレード工事の成功により、セノコ・エナジー社は、シンガポール政府の国家環境庁がエネルギー効率向上への努力・功績を表彰するEnergy Efficiency National Partnership Award 2021において、Best Practice Awardを受賞した。
同社の代表取締役副社長であるTan Cheng Teck(タン チェン テク)氏は次のように述べている。「新型コロナウイルス感染拡大の厳しい時期にアップグレード工事が行われ、エンジニアや専門家など従業員の皆さんの努力は相当なものだったと思います。プロジェクトチームの綿密な計画と実行、三菱重工をはじめとした関係各所の緊密な協力、日本・シンガポール間の渡航制限下における遠隔的な技術指導や工程管理などの多大な支援に感謝しています。まさに、チームが一体となって取り組んだプロジェクトとなりました」。
セノコ・エナジー社の受賞に際し、三菱重工グループの現地法人Mitsubishi Power Asia Pacific Pte. Ltd.の代表取締役兼CEOである大野 修氏は、次のように祝意を表した。「アップグレード工事は、運転・保守(O&M)とともに、既存の発電所インフラの資産価値を最大化するだけでなく、エネルギー効率を改善し、脱炭素化に向けてCO2排出量を削減するために必要不可欠です。Best Practice Awardを受賞したセノコ・エナジー社を称えるとともに、同社との長年の関係を発展させ、シンガポールでのクリーンな発電の推進を支える重要なガスタービンのアップグレード工事を完了できたことを光栄に思います」。
今回のアップグレード工事は、経済的枠組みによる脱炭素化を定めた同国政府の炭素税等を含む炭素への価格付け制度であるCarbon Pricing Act(CPA)強化を見据え、エネルギー効率の改善と脱炭素化に向けたセノコ・エナジー社の取り組みの一環として、2019年6月21日にLTSAと併せて契約が締結された。CO2排出量の削減につながる企業の取り組みとして補助金も交付されている。