三菱重工業は11月24日、同社を幹事会社とする共同企業体が、福島県双葉郡広野町で進めてきた石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)設備の建設工事を完了し、発注元の広野IGCCパワー合同会社に納入したと発表した。
共同企業体は、三菱重工業、三菱重工エンジニアリング、三菱電機、三菱重工パワー環境ソリューションの4社からなる。
同設備は、世界最新鋭の石炭ガス化技術による高効率・クリーンな商業発電所として、2021年11月19日に運転を開始したもの。このプロジェクトは、勿来10号機(旧IGCC実証機)の経験を活かし、約2倍のスケールアップを実現させた世界最大規模のIGCCであり、2021年4月に福島県いわき市で運転を開始した勿来IGCCパワー合同会社向けIGCCプラントに次ぐ大型商用機となる。
このIGCCプラントで、三菱重工業は石炭ガス化炉をはじめ中核を担う空気吹きIGCC設備を手掛けている。また、三菱重工エンジニアリングがガス精製設備、三菱電機が発電機および電気設備、三菱重工パワー環境ソリューションが排水処理設備をそれぞれ担当。三菱重工・三菱グループの次世代火力発電テクノロジーを結集して完成させた。
このIGCC設備は、石炭を高温高圧のガス化炉でガス化し、硫黄、煤じんなどを分離・除去して精製したガスを燃料としてガスタービンを駆動させ、その燃焼排ガスを排熱回収ボイラーに導き、発生した蒸気を利用して運転する蒸気タービンを組み合わせた高効率のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)方式を採用している。発電効率は48%で、従来の石炭焚き火力発電に比べて効率が向上してCO2排出低減にも寄与することから、資源の有効利用と環境保全の両立をはかる発電事業者のニーズに応える発電設備として期待されている。