経済産業省と国土交通省は11月16日、両省が合同で設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」の第三回会合で、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けたロードマップの草案を明らかにした。
今年8月に経済産業省と国土交通省が合同で設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」は、官民の関係者が一堂に会し、日本国内での空飛ぶクルマの実用化に向けた将来構想や技術開発、社会に受容されるルール作り等を整合的に進めることが目的だ。
*詳細は「経産・国交省、空飛ぶクルマ実現のロードマップ造りへ」参照
その第三回目となる当日に公表された両省のロードマップ草案では、まず離島や山間部等を中心に実用化し、2020年代中に都市部へも拡大。2030年代には、都市部を高頻度で飛行させる等の活用を目指す。
それに伴い、2020年代に試験飛行や実証実験を実施し、同時に事業者によるビジネスモデルの提示も実施。同年代中に各種事業をスタートし、2030年代には実用化を拡大する方向だ。
また、安全運行管理システムや安全基準の策定、航空法等の法規整備の必要性にも言及。機体の安全基準や型式証明等の策定、離着陸場所や空域の調整・整備も必須であること等が盛り込まれた。
技術面では、空飛ぶクルマに関する具体的定義はまだないものの、電動で小型軽量、垂直離着陸を行い自律飛行も可能という、ウーバーが発表したeVTOL(電動垂直離着陸車両)タイプを想定。航空機と同レベルの安全性や静粛性の確保等についても言及した。
当日の協議会では、これら草案に対し参加した企業や大学の研究機関等から
「早期の実用化を目指す場合、すでに運行実績があるヘリコプタータイプも検討すべき」
「実用化は有人飛行が先か、無人飛行が先かは安全性の面で考慮すべき」
「まずはビジネスモデルをどう構築するかが重要」
等の活発な意見が出された。
経済産業省と国土交通省では、今回の会合で出た意見をはじめ今後も各方面にヒアリング等を行うことで、2018年度12月中のロードマップ策定を目指す。
空飛ぶクルマは、「離島や山間部での新たな移動手段」、「災害時の救急搬送」「迅速な物資輸送」、「都市部での渋滞緩和」等に期待されているだけに、今後の動向に注目したい。