国土交通省は、ガソリン直噴車へのディーゼル車等と同水準のPM排出量規制の導入、二輪車の排出ガス規制強化等のため、関係告示等を改正し、新型車については2020年12月から、継続生産車(一部を除く)については2022年11月から適用する。
同規制強化は、中央環境審議会答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第13次答申/平成29年5月)」を踏まえて行われるため、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等を改正する。
[主な改正項目]
<ガソリン直噴車関係>
ガソリン直噴車(※1)については、既にPM(※2)排出量規制が導入されているディーゼル車と比較し、PMの排出量が上回っているとの調査結果が示されたことから、ディーゼル車等と同水準のPM排出量規制を導入する。
※1:ガソリンと空気をあらかじめ混合して燃焼室に送り込む従来のエンジンと違い、空気とは別にガソリンを燃焼室内に高圧で直接噴射するエンジンを搭載した車。
※2:大気中に浮遊する粒子状物質。PM2.5など。
■導入されるPM排出量規制の規制値
注1:ガソリンを燃料とする普通自動車、小型自動車及び軽自動車であって専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下のもの(乗車定員が10人のものであって車両総重量が3.5トンを超えるもの及び二輪自動車を除く)。
注2:ガソリン燃料とする軽自動車(専ら乗用の用に供するもの及び二輪自動車を除く)。
注3:ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車(専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下のもの及び二輪自動車を除く)であって車両総重量が 1.7トン以下のもの。
注4:ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車(専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下のもの及び二輪自動車を除く)であって車両総重量が1.7トンを超え 3.5 トン以下のもの。
注5:ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車(専ら乗用の用に供する乗車定員9人以下のもの及び二輪自動車を除く)であって車両総重量が3.5 トンを超えるもの。
<二輪車関係>
二輪車から排出される炭化水素(HC)や窒素酸化物(NOx)等について、モード規制値(※3)を強化するとともに、アイドリング時に排出される一酸化炭素(CO)、燃料蒸発ガスに係る規制値を強化する。
※3:信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定した「市街地モード」、信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定した「郊外モード」、高速道路等での走行を想定した「高速道路モード」、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードである「WMTCモード」の走行時における排ガス規制値。
【改正概要】
①モード走行に係る排出ガス規制値を以下のように強化。
注:再掲:ストイキ直噴車(三元触媒が利用できる理論空燃比で燃焼する方式の筒内直接噴射ガソリンエンジン搭載車)に限る。
②アイドリングに係る一酸化炭素の排出ガス規制値を 0.5[%]に強化。
③駐車時の燃料蒸発ガスに係る規制値を 1.5 [g/test]に強化。
④耐久走行距離を以下の通り変更。
注1:総排気量 0.050ℓ超 0.150ℓ未満かつ最高速度 50km/h 以下、又は、総排気量0.150ℓ未満かつ最高速度 50km/h 超 100km/h 未満の二輪車。
注2:総排気量 0.150ℓ未満かつ最高速度 100km/h 以上 130 km/h 未満、又は、総排気量 0.150ℓ以上かつ最高速度 130km/h 未満の二輪車。
注3:最高速度 130 km/h 以上の二輪車。
<ガソリン車の駐車時における燃料蒸発ガス対策(四輪車)関係>
①国際基準と同様、駐車試験日数を現行の1日から2日へ延長することにより規制を強化。
②パージ走行サイクル(キャニスタに吸着された燃料蒸発ガスをエンジンに吸引(パージ)するための自動車の走行サイクル)を、国際基準と同様のものに変更する。
[スケジュール]
– 公布・施行:2月15日
– 適用開始時期
・新型車:2020年12月
・継続生産車:2022年11月(第一種原動機付自転車にあっては、2025年11月)