国土交通省は6月22日、第204回通常国会での航空法等一部改正法の成立を受け、同法に基づき国土交通大臣の定める「航空運送事業基盤強化方針」を策定し、公表した。
第204回国会(常会)で成立した改正航空法により、世界的規模の感染症の流行等で航空会社の経営に甚大な影響が生じた場合にも、安全かつ安定的な航空ネットワークの維持・確保するため、国と航空会社が一体となって航空運送事業の基盤強化を図る制度が創設された。
これを受け、国土交通大臣は、今般のコロナ禍による影響に鑑み、事業基盤強化の意義やそのための支援策の方向性等を示す「航空運送事業基盤強化方針」(大臣告示)を策定。これにより今後航空会社は、ネットワーク維持・確保のための運航方針や設備投資の内容等についての計画を作成し、その実施状況を定期報告することとなった。
[基盤強化の意義・目標]
航空ネットワークは、公共交通として国民の社会経済活動を支えるとともに、ポストコロナの成長戦略の実現にも不可欠な「空のインフラ」であることから、今後も必要な安全かつ安定的な輸送を確保できるよう、政府及び航空会社は、航空運送事業の基盤強化のため、それぞれ講ずべき施策・措置を明確にし、実行。これにより、今後の需要回復に速やかに対応すると共に、ポストコロナに向けた需要増加に対応するために必要な供給体制を確保していく。
また、日々の安全運航を支える航空業界の人材の雇用の維持は極めて重要であることから、政府としても、その雇用維持のための支援を行う。
[基盤強化のために政府が実施すべき施策]
①機材投資等の支援
・着陸料や航空機燃料税等の1,200億円規模の減免。
②資金繰り等の支援
・日本政策投資銀行等の危機対応融資等。
③雇用維持
・雇用調整助成金や産業雇用安定助成金の活用等。
④収益性向上努力の支援
・感染拡大防止策等への支援、国際往来再開に向けた適切な対応等。
⑤コスト削減努力の支援
・乗員・整備分野における安全にかかる手続の合理化・柔軟化。
・飛行経路の短縮等による消費燃料の削減。
⑥カーボンニュートラルへの対応など国際競争力強化
・機材・装備品等への新技術導入、飛行経路の短縮等の管制の高度化による運航方式の改善、SAFの導入促進等。
[空港の機能の確保のために政府が実施すべき施策]
①空港関連企業の維持・強化
・空港整備事業に対する無利子貸付、運営権対価の支払猶予。
・日本政策投資銀行等の危機対応融資等。
②雇用維持
・雇用調整助成金や産業雇用安定助成金の活用。
③その他
・感染拡大防止策への支援、カーボンニュートラルへの対応。
[航空会社が講ずべき措置]
①事業構造の変革
・コスト改革、持続可能なビジネスモデルの転換、低燃費機材の導入等。
②財務基盤強化
・資金繰りの確保、資本性資金の調達等による財務基盤の強化。
③雇用維持
・雇用調整助成金等を活用しつつ、将来の成長のための雇用維持。
[問い合わせ先]
国土交通省航空局航空ネットワーク部航空事業課 川端、林
電話:(03)5253-8111(内線48502、48512)直通 03-5253-8706
国土交通省航空局航空ネットワーク部航空ネットワーク企画課 藏、渡延
電話:(03)5253-8111(内線49102、49624)直通 03-5253-8715
■(国交省)航空運送事業基盤強化方針(本文/PDF):https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001410200.pdf