国土交通省は4月30日、経済産業省と共同で、令和2年度自動走行ビジネス検討会報告書「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」~レベル4自動運転サービスの社会実装を目指して~ を取りまとめたことを発表した。
国土交通省と経済産業省では、自動走行分野において世界をリードし、社会課題の解決に貢献するため、2015年2月に自動走行ビジネス検討会を設置し、取り組みを推進している。
令和2年度の自動走行ビジネス検討会では、無人(レベル4)自動運転サービスの社会実装に向けて、これまでの実証プロジェクトの成果を踏まえつつ、今後5年間で取り組む次期プロジェクトの工程表等について検討を行った。
■自動運転レベルの定義
報告書概要
■これまでの実証プロジェクトの成果
– ラストマイル自動走行実証(自動運転による移動サービス実証)
目的:2020年中に限定地域での無人自動運転移動サービスを実現するため、モデル地域での目的事業性検討及び車両技術の開発を実施
– 高速道路におけるトラックの隊列走行実証実験(無人・有人)
目的:
・2020年度に高速道路での後続車無人隊列走行技術の実現のため、公道での性能評価及びテストコースでの機能評価をクリアした後に、新東名高速道路にて後続車無人隊列走行を実施
・2021年度に高速道路での後続車有人システム(導入型)の商業化と、「発展型」の開発に資する新共通車車間通信機を用いた実証実験を実施
■次期プロジェクトの検討テーマ
テーマ1.2022年度に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスの実現に向けた取組
テーマ2.さらに、対象エリア、車両を拡大するとともに、事業性を向上するための取組
テーマ3.高速道路における隊列走行を含む高性能トラックの実用化に向けた取組
テーマ4.混在空間でレベル4を展開するためのインフラ協調や車車間・歩車間の連携などの取組
■都市・交通システムの将来像
<無人自動運転サービスが実現・普及した都市・交通システムの将来像>
我が国において無人自動運転サービスを広く展開・活用していくためには、自動運転の技術開発を行うだけでなく、実際の都市・交通システムの中で、どのような主体がサービスを提供し、誰がどのように利用するのかなど、ユースケースを想定しながら、取り組むことが重要である。
そこで、無人自動運転サービスのユースケースを想定できるように、「無人自動運転サービスが実現・普及した都市・交通システムの将来像」をアニメーションにより分かりやすく表現した映像コンテンツを制作し、3月25日に開催した社会受容性シンポジウムやウェブサイト等を通じて、情報発信をおこなった。今後も、国内外のシンポジウム等で発信していく予定。
映像化したユースケースは多様な地域やサービスに対応したものとし、次期プロジェクトのテーマを踏まえつつ、以下の4つを取り上げた。
①地方部で遠隔監視による複数台の無人低速モビリティの運行
<想定するユースケース>地方部の駅やバスターミナルなどの交通拠点から、公共施設や集客施設までの2次交通手段として、遠隔監視システムにより3台以上の無人低速モビリティを運行することで、乗客だけではなく、モノやサービスの移動も可能に。
②地方都市のさまざまなエリアでのレベル4BRT、オンデマンドバス
<想定するユースケース>地方都市で、住宅地や中心部など拠点間をつなぐ交通手段として、レベル4BRTやオンデマンドバスを活用し、交通需要に併せてサービスを提供。
③都市から都市へ。高速道路でのレベル4トラックの運行
<想定するユースケース>高速道路での幹線物流として、レベル4トラックが、高速道路の混雑・規制状況に応じて、地域、時間帯を選んで運行。複数台の走行時には車車間で通信し、隊列の形成、解除をシステムが判断。高速道路に隣接する物流センターでは一般トラックへの荷物の積み替えを行う。
④大都市で人と車が混在する中での自動運転サービス
<想定するユースケース>大都市の市街地での人と車が混在する状況の中、インフラや他の車両からの情報を活用しつつ、自動運転サービスカーが人や車を避けながら、安全かつスムーズに運行している。また、住宅・オフィス、店舗までのファイナルマイルは、小型モビリティや自動配送ロボットなどによって、乗客やモノを最終目的地までシームレスに輸送。