国土交通省(国交省)は3月9日、3月4日に開催した第42回新道路技術会議において、令和3年度から3年以内で道路政策の課題の解決を目指す技術研究開発テーマを研究者から広く募集し、新たに7件を採択したと発表した。
国交省では「学」の知恵、「産」の技術を幅広い範囲で融合し、道路政策の質を一層向上させるため、平成16年10月より
新道路技術会議を設置している(※委員長:朝倉康夫 東京工業大学大学院教授)
上記において、2020年12月9日から2021年1月15日までの期間、令和3年度から取り組む技術研究開発の募集を実施したところ、31件の応募があった。
「新道路技術会議」による審査の結果、採択された研究(研究テーマ名と応募時の提案概要等)は以下の通り。
<ソフト分野>
【特定課題:AI技術等を活用した特殊車両の軌跡推定の高度化に資する研究開発】
研究テーマ:「特殊車両の折進可否判定の自動化と特車フリー道路ネットワーク計画手法の研究開発」
研究代表者 :塩見 康博(立命館大学)
提案概要 :衛星画像データ等に基づいて交差点平面図を生成する手法や、特車の折進可否と通行条件判定、走行軌跡生成を自動化する手法を開発すると共に、速達性や頑健性等の指標に基づく特車フリー道路ネットワーク計画手法を構築する。
【特定課題:カメラ画像を活用した交通量等道路交通データ観測の精度向上に資する研究開発】
研究テーマ :カメラ画像および複数の観測データを融合した次世代交通計測手法に関する研究開発
研究代表者 :柳沼 秀樹(東京理科大学)
提案概要 :道路ネットワーク上の常時観測データを取得可能とする次世代型交通計測システムの構築を目指し、AI解析、カメラ画像を活用した交通移動体の高精度検知手法、複数の交通データを融合した交通量等計測データ生成・補正手法の開発に取り組むことを目的とする。
【政策領域3:新たな情報サービスと利用者満足度向上】
研究テーマ :高速道路におけるProactive型交通マネジメント方策についての研究開発
研究代表者 :倉内 文孝(岐阜大学)
提案概要 :本研究は、AI技術を活用した交通状況ナウキャストをトリガーとし、ゲーミフィケーションによる行動変容提案のデザインアルゴリズムを構築し、チャットボットを通じて走行中に安全に行動変容提案をするProactive型交通マネジメント方策を開発するものである。
<ハード分野>
【特定課題:道路構造物の点検時に得られる定量的データを活用した診断支援に関する研究開発】
研究テーマ :レーザー打音検査装置を用いた橋梁・トンネル等の道路構造物のうき・剥離の定量的データ化による診断技術の技術研究開発
研究代表者 :中村 光(名古屋大学大学院)
提案概要 :本研究では、トンネル点検で社会実装が進みつつあるレーザー打音検査装置について、音波ではなくコンクリート表面の変位(動き)を遠隔で計測できるレーザー打音検査装置の特徴を活かし、「うき・剥離の状態」を定量的データ化することで、検知・記録から診断する技術へ進化させ、橋梁等の道路構造物にも適用範囲を広げるとともに、従来点検以上の品質と効率性の向上を実現する。
【特定課題:道路構造物の点検時に得られる定量的データを活用した診断支援に関する研究開発】
研究テーマ :高出力X線および磁気計測によるPC橋梁の腐食状況の検出と構造安全性評価に関する技術開発
研究代表者 :田中 泰司(金沢工業大学)
提案概要 :塩害やグラウト充填不足などによってPC鋼材が腐食している橋梁の腐食状況を非破壊で検出できる高出力X線装置および磁気計測装置を開発し、さらにその結果を構造解析に反映して構造安全性を定量的に評価する技術を確立する.
【政策領域4:コスト構造改革】※FS採択
研究テーマ :データ同化をベースとした高耐久フライアッシュコンクリート舗装についての技術研究開発
研究代表者 :岩城 一郎(日本大学)
提案概要 :本研究は、設計供用期間100年を満足する舗装の実現を目指し、高度な実験と解析を駆使したデータ同化による性能評価に基づき、フライアッシュを利活用した高耐久コンクリート舗装の開発と実装を行うものである。
【政策領域7:防災・災害復旧対策】※FS採択
研究テーマ/LPWA型無線ネットワークを用いた斜面災害監視システムの研究開発
研究代表者/安原 英明(愛媛大学)
提案概要/IoT技術を活用し、従来技術よりも低コスト化・省人化できる斜面災害監視システムを開発する。低消費電力長距離型無線技術(LPWA)を用いて、四国に無線ネットワークを構築し、域内の管理斜面の変状をリアルタイムで検知するシステムの開発を行う。
◾️国土交通省道路局「道路政策の技術研究開発」のウェブサイトURL: