国土交通省は、地域における移動手段の確保に資するラストマイル自動運転車両システムのガイドラインを策定し、7月17日に公表した。
2020年までの限定地域での無人自動運転移動サービスの実現の政府目標達成に向け、最寄の駅・停留所等と自宅等の目的地を自動運転で結ぶ「ラストマイル自動運転(※1)」等、地域における移動手段確保に資する自動運転移動サービスの実証実験が全国各地で実施されている。
国交省は、これらの移動サービスに用いられるラストマイル自動運転車両の開発・実用化・普及を促進するべく、産学官の関係者で構成される「先進安全自動車(ASV)推進検討会(※2)」で検討し、今回、ガイドラインを策定した。
これにより、自動車メーカー等における開発が促進され、同システムを搭載した車両の早期実用化・普及が期待できるとしている。
※1:目的地までのワンマイル程度の狭く限定された範囲内を自動運転(レベル3・4)で移動するサービス。
[ガイドラインの概要]
ガイドラインでは、近い将来に実現が見込まれる移動サービスを念頭に、その走行環境(場所、速度、天候等)を具体例としてまとめるとともに、当該走行環境を走行する車両について、自動運転車の安全基準(※3)への適合性確保にあたって設計時に留意すべきポイントを規定している。
■走行環境の具体例
・線路跡等の限定された空間を走行。
・電磁誘導線等で予め設定された経路を走行。
・最高速度12km/h以下で走行。
・大雨時を除くなど、周辺監視センサが十分に機能する天候のみ走行 等。
■主なポイント
・歩行者等と安全な間隔を確保し又は徐行すること。
・急な進路変更をしないこと。
・車内事故に留意した減速度で減速すること(緊急時除く)。
・自動運転継続が困難な場合や、システム故障検知時には自動安全停止等をすること。
・乗客・乗員の使用を想定した運行停止手段を車内に設置すること。
・自動運転中であること等を周囲に伝達するための外向き表示を備えること。
・サイバーセキュリティシステムについて代替の安全確保策が講じられることを前提に基準緩和認定制度の活用を可能とすること 等。
※2)ASV推進検討会:http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/japanese/planning6.html
※3:今年4月に策定された自動運行装置に係る保安基準。
■(国交省)ラストマイル自動運転車両システム基本設計書(PDF):https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001354517.pdf