国土交通省は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大による道路交通への影響を把握するため、ETC2.0システムを通じて収集したプローブデータ(※1)を活用し、交通状況の集計・分析を行い、6月2日、その結果を公表した。
[プローブデータの分析について]
<分析項目>
・都道府県別の平均旅行速度(※2)
・主要観光地付近の旅行速度
・トリップ長・OD分析(※3)
<主な分析結果>
・旅行速度では、都道府県別平均旅行速度・主要観光地付近の旅行速度共に、3月下旬から旅行速度が上昇しているが、3月20日~22日の休日において、関東地方を中心に速度低下がみられる。また、5月下旬には西日本を中心に若干の速度低下がみられる。
・トリップ長構成比率は大きな変化はみられないが、総トリップ数は、平日の乗用車で23%、大型貨物車で6%、休日の乗用車で29%減少しており、休日の大型貨物車で10%増加している。
・ODでは、平日はいずれの車種でも都道府県内々・内外共にトリップ数が減少傾向にあるものの、都道府県内外を移動する大型貨物車が一部地域で増加している。また、休日は、特に都道府県内外を移動する乗用車のトリップ数が大きく減少しているが、大型貨物車のトリップ数は全国的に増加している。
なお、分析内容のうち旅行速度については、ETC2.0システム活用で集計できることから、引き続き集計を継続する予定。また、主要観光地付近の旅行速度については、自治体等の意見も踏まえ、集計対象の拡大も検討するとしている。
※1:ETC2.0車載器及びETC2.0対応カーナビに記録された走行位置の履歴などの情報で、道路管理者が管理するITSスポットと無線通信を行うことによりETC2.0車載器及びETC2.0対応カーナビから収集される情報。
※2:対象区間延長を走行に要した時間で割った平均速度のこと。信号などによる停止時間を含む。高速道路、一般道路ともにETC2.0プローブ情報よりデータを取得。
※3:「トリップ(Trip)」は、ある目的(例えば、出勤や買物など)を持って起点から終点へ移動する際の、一方向の移動を表す概念であり、同時にその移動を定量的に表現する際の単位。トリップ長の場合、その移動に要した距離のことを指す。一方のOD分析=Origin(起点・出発点)とDestination(終点・目的地)を把握することで、現在の道路と道路交通の実態を把握し、道路計画の策定や道路の維持・修繕、渋滞対策等に活用する分析のこと。
■(国交省)ETC2.0プローブデータによる交通状況分析(PDF):https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001346436.pdf
■(国交省)全国・主要都市圏における高速道路・主要国道の主な区間の交通量増減(更新:令和2年6月3日 12時):https://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000090.html