財務省は12月18日、財務省関税局と英国歳入関税庁がAEO(Authorized Economic Operator:認定事業者)相互承認に係る取決めについて合意に達し、東京において署名を行ったと発表した。
これまで英国との間では、EU構成国として、日EU・AEO相互承認取決めの枠組みの下、日英両国のAEO事業者の貨物に対する迅速な通関が認められてきたが、英国のEUからの離脱に伴い、英国とEUの間で締結された離脱協定に基づく移行期間の終了とともに、同取決めの枠組みから英国が外れることとなる。こうした状況を受け、日英両国のAEO事業者に対し、相互承認による便益を維持することを目的に、日英の税関当局間で新たに相互承認取決めを作成することとして、今回の署名に至った。
本取決めの実施により、移行期間の終了後も、両税関当局における輸出入貨物の審査・検査の際、当該貨物が相手側のAEO事業者による輸出入貨物である場合には、その資格をリスク評価に反映させることとなり、これまでと同様、日英両国のAEO事業者による輸出入貨物の通関手続の円滑化が確保される。本取決めは、移行期間の終了時から実施される。
(注1)英国のEU離脱に伴う移行期間
英国とEUの間で締結された離脱協定において、英国のEU離脱後、「移行期間」(英EU間で新たな合意がない限り、2020年12月31日(木)まで)が設けられ、同期間中は第三国との間でEUが締結している国際約束を含むEU法が英国に適用されている。
(注2)AEO制度
AEO(Authorized Economic Operator: 認定事業者)制度とは、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対して、迅速化・簡素化された税関手続を利用することを認める仕組みである。
AEO制度は、国際貿易における安全確保と円滑化の両立を図るための制度として、世界税関機構(WCO:World Customs Organization)の「基準の枠組み」(※)(Framework of Standards)に沿って、各国の税関当局が取り組んでいる施策であり、日本においても、輸出入者、通関業者等を対象としてAEO制度を整備している。
(※)「基準の枠組み」とは、2005年(2018年改訂)に世界税関機構で採択された国際貿易の安全確保及び円滑化のための指針である。
(注3)AEO相互承認
AEO相互承認とは、それぞれの国が認定したAEO事業者に対し、相互に税関手続上の便益を与えることを認めている。
(注4)日本の他国・地域とのAEO相互承認の状況
ニュージーランド(2008年5月署名)、アメリカ(2009年6月署名)、EU、カナダ(共に2010年6月署名)、韓国(2011年5月署名)、シンガポール(2011年6月署名)、マレーシア(2014年6月署名)、香港(2016年8月署名)、中国(2018年10月署名)、台湾(2018年11月署名)、オーストラリア(2019年6月署名)
※ 台湾については、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間の民間取決め