経済産業省は7月26日、物流分野における新しいモビリティサービス(物流MaaS)の推進に向けた実証事業における、「見える化・混載・自動化等による輸配送効率化」「電動商用車活用・エネルギーマネジメントの導入ユースケース等に係る検証」の2つの取組を行う事業者を発表した。
経済産業省は、「物流MaaS勉強会とりまとめ」で示した取組の方向性を踏まえ、令和2年度より、物流分野における新しいモビリティサービス(物流MaaS)の推進に向けた実証事業を実施している。今年度も、令和2年度の成果を生かしつつ、「トラックデータ連携の仕組み確立」、「見える化・混載・自動化等による輸配送効率化」「電動商用車活用・エネルギーマネジメントの導入ユースケース等に係る検証」の3つの取組を推進。今回、後ろの2つの取組(輸配送効率化・電動商用車活用)について、公募を通じて先進実証を行う事業者を選定した。
なお、「トラックデータ連携の仕組み確立」については、令和3年度「無人自動運転等の先進MaaS実装加速化推進事業(無人自動運転等の先進MaaS実装加速化のための総合的な調査検討・調整プロジェクト)の中において昨年度からの取組を継続して実施することとしている。
■「見える化・混載・自動化等による輸配送効率化」
・選定事業者:NEXT Logistics Japan(株)
積載率の向上を目指し、荷姿標準化の効果(CO2削減、省人化)を検証するとともに、将来の自動クロスドック(結節点)運用に向けた自動荷役技術の企画及び課題の抽出を行う。
・選定事業者:三菱ロジスネクスト(株)
安全で効率的な物流を目指すために、油圧センサーユニットを車両に装着し架装設備の見える化を検証するとともに、保険会社等と連携し、整備・運行記録等を用いた分析モデルの構築等を行う。
■「電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証」
・選定事業者:(株)ミツバ
交換式バッテリーを搭載した軽貨物EVを製作し、テストコースにて配送サービスを模した運用を実証する。また、交換式バッテリーの充電方法、荷物の積載中にバッテリー交換を行う運用の成立性や人数・時間などのコスト等を算出し可視化する。
・選定事業者:東京電力ホールディングス(株)
法人ユーザーを対象に、「共同利用型充電サービス」を提供し、先行的なEV普及と充電インフラ整備を一体的に進めるとともに、横展開が可能なモデルを構築する。なお、サービスには 時間帯別料金(ダイナミックプライシング含む)に加え、100%再生可能エネルギーによるカーボンフリー充電を取り入れる。
・選定事業者:(株)みちのりホールディングス
小容量バッテリーのEVバスでの運行・導入費用の抑制を目指し、地方部の路線バスを対象に、運行管理とエネルギー管理をエネマネシステムで一体的に実施するコンセプト検証を実施する。
・選定事業者:長瀬産業(株)
支線配送業務向けに設計したミニカー区分の小型電動車を、宅配業務の現場で実際に運用し、小型電動車の課題、現場ニーズに応じた仕様、望ましい運用システム、関連設備のあり方を明確にし、かつ事業面のメリット(車両コスト削減、業務効率改善等)や社会的な価値(CO2排出量削減、高齢者対策等)を検証する。
・選定事業者:MONET Technologies(株)
複数の交通事業者やクルマのバリューチェーンを担う地元の事業者が連携して、自動運転EVを活用した運送サービスを提供する場合の課題を整理するため、自動運転EV車両の運行や車両整備等を共同実施する運用性を検証する。