みちのりホールディングス、会津乗合自動車、凸版印刷、ナビタイムジャパン、KDDI、ウェザーニューズの6社は、次世代スマートバス停の実用化に向け、会津若松市内での実証実験を2月17日から開始する。
このスマートバス停は、電子ペーパーと将来的に開発・実装されるLPWA (注1) とを利用し、自然エネルギーで駆動、遠隔からの時刻表データ更新やバス停の接近情報を表示。電子ペーパー技術を活用したバス停としての実証実験は、国内初となる。
スマートバス停では、IoT技術・機器を利用し、バスの運行情報等をリアルタイムに提供することで、サービス及び快適性の向上につなげると云う。
また、地域情報を取り込んだ情報ステーション機能を備えた次世代バス停とし、バス利用を促進することを目的としている。
実証実験では、こうしたバス停の機能検証および、利用者の受容性を検証する。
また、今後の展望については、以下のよう述べている。
実証実験を通じ、開発を目指すスマートバス停が運行エリア全体で導入されれば、時刻表などの紙を張り替える必要なく、遠隔から時刻更新や路線変更を行えるようになる。
これにより現在、年二回程度の実施バス時刻の更新が、より高頻度にできるようになり、利用者ニーズに合わせたバスサービスの提供ができるようになる。
将来的には、バス停に配信するデータを効率的に管理、時刻表や路線データもGTFS形式 (注4) のような標準的な規格に合わせ、これらがオープンデータ化されることでデータを活用した新たなサービスの開発の土壌を整え、地域経済への波及させていきたい。
今後の技術開発と合わせて、こうしたスマートバス停を活用したサービス改善や電子広告出稿などの可能性を検証することで、本格的な実用化を進め、より多くのバス停へ設置を目指していく。
[スマートバス停の特長]
●運行情報のリアルタイム表示 (注2)
従来のバス停では定刻の時刻だけが表示され、定刻通りに運行されているのか、いつバスが来るのかがわからなかったが、運行状況をリアルタイムに表示することで、バスの信頼性を高め、バス自体の利便性を向上させる。
・リアルタイムなバスロケーション情報 (接近情報・到着予想情報) の表示 (注3)
・荒天や道路状況などによる運行状況急変のお知らせの表示 (リアルタイム表示)
・経路・時刻表・料金等の詳細情報の提供
・多言語での情報提供―増加するインバウンド旅客への対応
・電子ペーパーディスプレイモジュールによる屋外でも見やすい表示
●地域情報等の情報ステーション機能 (注2)
地域住民や周遊・観光利用客への情報提供を行う。
・天気予報やライブカメラによる、天候・道路情報/おすすめスポットなどの情報提供機能
・エリア掲示板/公共機関からのお知らせ/緊急時の避難情報配信など、地域コミュニティが利用できる情報インフラ機能
●電子ペーパーとLPWA無線技術を組み合わせた低消費電力仕様
両者は、低コスト・低消費電力であり、ソーラーパネル・DC電源での運用可能性を実証していく。また、機器・通信コストの低コスト化と外部電源不要であることから、従来のあらゆるバス停をスマートバス停に置き換えることが可能と見込んでいる。
・低消費電力のE Ink製の電子ペーパーディスプレイモジュールの採用
・LPWA無線技術は、低消費電力、低速度、広域カバレッジを特長とし、本取り組みでは携帯電話網を利用する通信規格LTE-Mを利用予定
・これまでのデジタルサイネージよりも安価に機器の設置が可能
[実証実験について]
<実施期間>
2018年2月17日設置 以降4月より1年間を開発段階とする
<設置場所>
本年度は、会津若松市内 (神明通り: 2面タイプ、鶴ヶ城入口: 1面タイプ) の2カ所に設置
<ディスプレイの仕様>
・サイズ:1面タイプ (縦511 x 幅274 x 厚み59mm) / 2面タイプ (縦1,022 x 幅274 x 厚み59mm)
・表示画面サイズ:13.3インチ
・必要電源:DC12V (ソーラーパネルによる供給も可能)
[各社の役割]
– みちのりHD・会津乗合自動車 (会津バス): 実証実験の取り纏め・運行情報の提供
– 凸版印刷: スマートバス停の機器準備・メンテナンス
– ナビタイムジャパン: 運行情報の処理、独自のWebサービスを用いた乗換情報等の提供
– KDDI: 通信環境の整備
– ウェザーニューズ: 気象観測機・ライブカメラの設置、気象情報の提供
※各社の役割については今後の開発・実装計画分を含む
注1) LPWA: Low Power Wide Areaの略称。低消費電力で遠距離での通信を可能にする通信方式。本取り組みでは将来的にLTE-Mを活用予定。
注2) 一部の機能は今後、独自のWebサービスと連携してサービスを提供していく予定。
注3) バス停の接近情報表示は本年度春先以降での導入を想定。
注4) GTFS: General Transit Feed Specificationの略称。公共交通機関が持つデータを統一するために定義されたデータフォーマット。