フランスのミシュランは、使用済みタイヤをリサイクルする熱分解テクノロジーの大規模な開発・事業化を目指し、スウェーデンのEnviro(エンバイロ)社との今年半ば迄の最終的な提携合意に向け、話し合いを進めている。
両社は、世界で毎年約10億本も排出される使用済みタイヤについて、これらを良質の原材料に生まれ変わらせることで、タイヤリサイクルの課題を解決していきたいとしている。
2001年設立の社員20名から成るスウェーデンの新興企業エンバイロは、熱分解プロセスにおいてエネルギー消費を最小限に抑えながら、素材の化学的組成及び物理的状態を変化させるテクノロジーを開発。
この革新的なテクノロジーでは、有機化合物を急激に加熱することにより化学的に分解する手法が採られており、対象の有機化合物には元来含まれていない新たな成物の抽出を可能にすることから、再生カーボンブラック、熱分解油、鋼鉄など、他の産業分野の生産工程で再利用できる生成物の生産が可能に。現在、廃棄物として処分されているタイヤも、原材料としてリサイクルできるようになると云う。
この提携により両社は、相互に補完し合うノウハウを持ち寄り、タイヤのリサイクルを加速。ミシュランは自社の事業ノウハウを工場建設プロジェクトや研究開発・製造に活かし、エンバイロは特許権を取得している熱分解テクノロジーを提供することで、高品質の製品を生み出していくとしている。
エンバイロとの提携に関して、ミシュラン サービス&ソリューション ハイテクマテリアルビジネス部門のディレクター Sonia Artinian-Fredou氏は、以下のように話している。
「エンバイロとの提携は、ミシュランの“すべてを持続可能に”というビジョンに沿っています。2017年のリーハイテクノロジー社(ハイテクを活用して使用済みタイヤから微粉化粉末を抽出する専門事業者)の買収に続き、今回の提携も、ミシュランがリサイクルと持続可能なモビリティに長期的にコミットしていることの確かな証しです」。
[両社提携への道程]
・エンバイロの熱分解テクノロジーを大規模に展開するための開発契約の締結。
・ミシュランは、エンバイロ株式の20%(116,165,223株)取得のため、総額3,252万6,262クローネ(約3百万ユーロ)を出資し、筆頭株主となり、取締役を派遣することを株主総会に提案する(4月15日、株式引受手続きに署名)。
・同テクノロジーの事業化を進めるための工場建設共同プロジェクトを発足(工場の立地は検討中)。
・ミシュランとエンバイロ間の相互供与契約を締結。
■(vimeo)Enviro 廃タイヤリサイクルプレゼンテーション(動画/英語):https://vimeo.com/143231063
■Enviro(英語):https://www.envirosystems.se/en/