2024年10月11日、コラボレーション創出の場「PARK」棟・開所式。左からミシュラングループ CFOのイブ・シャポー氏/日本ミシュランタイヤ代表取締役社長の須藤元氏/ミシュラングループ経営評議会メンバーのマヌエル・モンタナ氏
日本ミシュランタイヤは11月13日、本社拠点を群馬県太田市に移転させて(移転日:2023年8月1日)1周年を迎えたのを期に同拠点内に建設した新社屋PARK棟をの披露式を実施。移転から1年の進化を発表した。
この1年の歩みついて日本ミシュランタイヤでは、従来のタイヤビジネスのみならず、群馬県下の物流企業の美松運送、当地に於いて車両動態運行管理のトップランナーを担うドコマップジャパン、群馬大学などとコンソーシアムを組み上げ、当地に於けるデジタルイノベーションの改革にも積極的に取り組んだ。
この取り組みは、DXの力で物流業界の2024年問題(ドライバーと輸送力の不足)の解決と、環境にやさしく荷主に選ばれる運送事業を目指すもので、産官学連携事業として2023年度の県のデジタルイノベーション加速化補助金を活用。
2024年4月に、(1)荷物を運搬中のCO2排出量及び車両の運行単位での燃費とCO2を見える化。(2)自動レポート作成による整備作業者と運行管理者の共通理解に貢献。(3)繁忙期前の計画的なタイヤ購入・交換に繋げる可能性を開拓。(4)緻密な管理で効率的に摩耗末期まで使い切ることの重要性を伝えるなどの成果に繋げた。
また今回、移転1周年にあたり新たに設けられた新社屋の『PARK棟』は、環境への配慮に腐心した。設計・施工は群馬県内の業者が行うことで、搬入マイレージの削減を実現した他、コンテナ建築を採用しシンプルで合理的ながら独創的な設計思想の基、内装処理や資材消費を抑え、搬入マイレージの削減や遮熱効果の高い部材などを使うことで冷暖房によるCO2 排出量を抑えている。
その構造はコンテナと鉄骨のハイブリット構造で、コンテナを井桁のように積むことで、コンテナ特有の小さなスペースとその間に大きな吹き抜け空間を作った。これにより立体的にも人の視線が交差し、階が異なっても交流しやすい設計になったとしている。
日本ミシュランタイヤでは、これらの社内活動の意義と新社屋の役割について「先の見通しがきかない現代社会において、変化に強い組織では、集合知をはぐくみ、新たな閃きを生み出す環境が必要です。私たちは今まで太田サイトには無かった、視線・意見が交差し、皆が楽しく集まれる場所を作りました。「PARK」という名前にもそんな意味が込められています」と説明した。
このような社内環境の整備について同社は、本社移転を決めた2022年末から、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、通勤サポートや社宅、法人契約ホテルの整備など、自分たちの働きやすさ、ワークライフバランスの適正化、ワクワクするオフィス作りなど、社員の声を吸い上げて提案し、新しい働き方の策定をしてきたという。
そうした経緯から本社移転1周年を迎えた今日、本社移転と新たな働き方に関する社内の意識調査を実施し全社員の約半数から回答を得たともいう。
それによると全体のうち78%が、以前の働き方と比較し、本社移転後の現在の働き方に満足していると回答した他、通勤や宿泊に対する会社のサポートに満足していると答えた社員は84%に上った。その他にも、個人や部署に任される勤務形態は、「上司からの信頼を感じる」「業務都合、家族都合に合わせた働き方が可能になった」など、92%の社員が満足と回答した。
結果、研究開発、カスタマーサービスセンター、サービスグループに加え、東京から移動となったマーケティング&セールスやサプライチェーン等の部署も1拠点に集結できた今、部署間協業の活性化を促し、集合知を結集した意思決定を行っていけるようになったとしている。
また自然豊かで、災害レジリエンスの強固な群馬県に移転したことにより、地域の産官学の皆様と連携し、共に人財教育やボランティア活動などに取り組んでいけることは、地方移転の大きなメリットでもあるとした。
実際、移転に伴い、地域の活動に参加する社員も増加し、ダイバーシティとインクルージョン、サステナビリティへの意識は着実に高まっているともしており、ボランティアに参加する社員も増えたことから、2023年の活動時間は2018年の約3倍に増えたと結んでいる。
さて式典では来賓として登壇した山本一太群馬県知事が、「この度、日本ミシュランタイヤ株式会社が群馬県に本社を移転されて1周年記者発表会が開催されますこと、心よりお慶び申し上げます。
社内の多様な知見が集うことを目的として設立された新社屋 PARK棟の活用により、日本ミシュランタイヤ株式会社が、これまで以上に先端技術を生み出し続けていくことになると期待しています。群馬県としても、日本ミシュランタイヤ株式会社との連携により、県内経済の更なる発展に努めてまいります」と述べた。
これを受けて日本ミシュランタイヤ株式会社の須藤元代表取締役社長は、「本社を群馬県太田市に移転してから1年、人・利益・地球の価値創造のもと、社員が会社の未来に積極的に関与する意識が生まれ、自分たちの働き方を決定してきました。
VUCAの時代に、レジリエンスのある組織では、社員同士がより多くの交流の機会を持ち、集合知を生むことが成功の鍵と言われます。風通しのいい意見交換が可能な空間を実現するために、新社屋『PARK棟』を建設しました。地域のボランティア活動や志を共にする産官学の皆様との連携を密にし、群馬から世界へ、モビリティへの貢献を続けます」と語った。