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2025年2月13日【事業資源】

マツダ、タイでの電動コンパクトSUV製造に50億バーツを投資

坂上 賢治

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マツダの毛籠勝弘CEOは2月13日( バンコク/ Board of Investment:タイ投資委員会・発 )、タイ・バンコクでペートンターン・シナワット首相並びにタイ投資委員会( BOI )事務局長のナリット・テルステラスクディ氏らと会談。タイを同地域の電動コンパクトSUVの製造拠点とするべく50億バーツ( 約1億5,000万米ドル / 約230億円 )の追加投資を決めた。

 

タイ政府では、同投資により当地でマツダ車の生産拠点が拡張されるだけでなく、新たにハイブリッド技術およびEV技術が投入され、タイ国内と海外市場向けに年間10万台にのぼる車両生産が行われるとしている。併せてマツダによる今投資は、タイへの強固なコミットメントを再確認する動きの一環であると謳っている。

 

ちなみにタイの自動車市場で70年以上に亘って存在感を示してきたマツダは、タイ国内に2つの製造工場を持つ。そのひとつは1995年に設立され、国内販売と輸出向けの乗用車&商用車を生産するオートアライアンス(AAT)。そして2015年に設立され、エンジンとオートマチックトランスミッションシステムを生産するマツダパワートレインマニュファクチャリングタイランド(MPMT)がある。

 

同日に発表された追加投資は、このAAT工場とMPMT工場での新型電動車の組立ラインの強化、パワートレイン、オートマチックトランスミッション、バッテリーを含む電動化車両に係る主要部品の生産などに投じられる。更にマツダは、当地に於ける現行以上の生産能力の拡大と、タイの自動車産業並びに経済の発展に大きく貢献するべく、現地サプライヤーネットワークへのサポートにも精力的に関わっていく考えであるとしている。

 

なおペートンターン・シナワット首相と会談のなかで毛籠CEOは、「この投資は、当地に於いてマツダ製電動コンパクトSUVの製造を目指す一環であり、xEV生産への段階的な移行の始まりです。今回の50億バーツを超える追加投資によりマツダは、タイを電動コンパクトSUV製品の製造拠点として確立させていくことを目指しています。

 

また生産される車両は、環境への配慮とハイブリッド技術の両方の点で国際基準を満たす高性能コンパクトSUVになります。この大規模な包括的生産投資は、国内販売と日本やASEAN諸国などの他の国々への輸出をサポートするためのもので、年間10万台の生産を目指しています。

 

今投資は、当社のマルチソリューションアプローチに基づき、持続可能な地球、社会、人々の暮らしを実現するという使命に沿い、タイを当社の電動化車両を生産・輸出する拠点として見据えた重要な第一歩となります」と述べた。

 

対してタイ投資委員会( BOI )の事務局長であり、国家電気自動車政策委員会( EV委員会 )の事務局長でもあるナリット・テルステラスクディ氏は、「マツダによる今回の発表は、タイへの継続的な発展に向けた重要な投資であり、ハイブリッド車両技術を含むこの分野の電動化を発展させていくことを望む私たちの政策を支援するものとなります。またマツダのタイへのコミットメントと、タイに対する信頼は自動車およびその他の技術分野に於ける日本からタイへの更なる投資の可能性を示してくれています」と語った。

 

最後にタイの投資委員会は先月、2024年の投資​​奨励申請額が35%増加して1兆1,400億バーツ( 約330億米ドル )となり、2014年以来の最高水準に達したと発表した。

 

これらの投資は、データセンター、クラウドサービス、半導体、先端電子機器製造に於ける大規模な外国直接投資( FDI )プロジェクトが牽引している。そのなかで自動車および部品部門は申請額で3位となり、309件のプロジェクトで合計1,024億バーツに達しているとした。

 

またタイは長年、従来の内燃機関( ICE )自動車産業の中心地であり、2023年には製造国として世界第10位、東南アジアでは第1位にランクされている。政府の政策によりメーカーと消費者に補助金、減税、その他の優遇措置が提供され、同国の自動車部門の電動化への投資が促進されて以来、タイは電気自動車( EV )とハイブリッド車生産への投資を呼び掛けていると結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。