マツダ(本社:広島県安芸郡府中町)は10月2日、東京都港区で自社が予てより掲げる「人間中心」の開発哲学に基づき「走る歓び」をさらに進化させると共に、「生きる歓び」を実感できるカーライフの実現を目指した電動化とコネクティビティの技術戦略を発表した。
これは、美しい地球と心豊かな人・社会の実現を使命と捉え、「地球」・「社会」・「人」それぞれの課題解決を目指した技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づくものだと云う。
電動化技術とコネクティビティ技術の概要は以下の通り。
[電動化技術]
将来も大多数のクルマへの搭載が予測される内燃機関に関わる独自技術を磨き上げながら、小型化・軽量化を実現する電動関連技術を開発し、Co2排出量削減と「走る歓び」の進化を追求していく。
一方、クリーンな発電で電力をまかなえる地域や、大気汚染抑制を目指して自動車に関する規制を抱える地域に対しては、電気パワーユニットを含めて最適な動力ソリューションを導入していく。
●「Well-to-Wheel(燃料採掘から車両走行まで)」視点で企業平均でのCO2排出量を、2050年までに2010年比90%まで削減することを視野に、2030年時点で生産するすべての車両に電動化技術を搭載する。
●2030年時点におけるマツダの電動化技術を搭載した車両の構成比は、電動化技術を組み合わせた内燃機関車が95%、電気自動車は5%を想定していく。
●独自開発の電気自動車は、電気駆動ならではの利点を活かしつつ、人間の特性や感覚を第一に考えたマツダならではの「人間中心」のアプローチで開発していく。
●電気自動車は、バッテリーのみで駆動するモデルと、これにマツダ独自の小型・軽量で静粛性に優れたロータリーエンジン(RE)を組み合わせたタイプを検討する。これにの組み合わせでは、バッテリーが一定レベルに減ると発電して航続距離を延ばす新開発のロータリーエンジンレンジエクステンダーを搭載したモデルも開発していく。またこのロータリーエンジンとジェネレーター(交流発電機)とバッテリー、燃料タンクの組み合わせは複数のものを用意することで1車種でマルチxEV化を実現していく。
●したがってロータリーエンジンレンジエクステンダーは、ロータリーエンジンならではのコンパクトかつ出力の高さを活用し、共通のパッケージングでも、電動化技術のマルチソリューション化を可能とする将来構想を踏まえて開発していく。
●ロータリーエンジンレンジエクステンダーは、ロータリーエンジンと気体燃料との親和性をいかし、LPG(液化石油ガス)を利用した災害時における緊急給電も想定して開発する他、ロータリーエンジンならではの燃料に対するフレキシブル性を活かして、ガソリン燃料やCNG燃料の他、水素に至るまで多様な燃料に対しても応えられるようにしていく。
[コネクティビティ技術]
「人間中心」の開発哲学にもとづき、クルマを通じた体験や感動の共有によって人・社会をつなげ、いつまでも人間らしい心豊かな「生きる歓び」が実感できるコネクティビティ技術を開発。
「走る歓び」とともに、新たなクルマの価値として提案し、人と社会を元気にすることを目指す。
写真:藤原 清志代表取締役副社長・執行役員
●コネクティビティ技術によって、人と人・社会をつなげることで、社会構造の変化にともなう、人と人とのつながりの希薄化などの社会的な課題解決へ貢献する。
●モデルベース開発と連携し製品開発に反映することで、品質と顧客満足度をさらに向上させる。
●トヨタ自動車とのアライアンスを最大限に活用して開発する。
マツダの代表取締役社長兼CEOの丸本明 氏(記事最上段・扉写真)は、今回発表のマツダの電動化とコネクティビティの技術戦略について、以下のように述べている。
「いま自動車産業は100年に一度の変革期を迎えているといわれていますが、マツダはこれを新しい『クルマ文化創造』のチャンスだと捉えています。
『CASE(*)』などの新技術はクルマをより魅力的な存在にする可能性を秘めており、マツダならではの『人間中心』の開発哲学をもとに新技術を活用しながら『走る歓び』を『飽くなき挑戦』で追求し続け、お客さまと世界一強い絆で結ばれたブランドになることを目指してまいります」
*コネクティビティ技術/自動運転技術/シェアード・サービス/電動化技術といった新技術の総称。
■(マツダ)ロータリーエンジン開発物語「第Ⅲ章 新たなる時代へ、そして未来へ」:http://www.mazda.com/ja/innovation/stories/rotary/newera/